孫が大学に合格したので初年度の「学費120万円」程度を払うつもりです。「110万円」を超えていますが、孫の学費を払う場合でも贈与税はかかるのでしょうか?
配信日: 2025.03.25


執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
孫の学費で120万円を贈与した場合には、贈与税はかかるのか?
1年間のうちに贈与を受けた合計額が110万円までの贈与に贈与税がかからないというのは、「暦年贈与」と呼ばれるものです。
すなわち、1年間(1月1日〜12月31日)に贈与を受けた財産の価値合計額が110万円以内であれば、贈与を受けても、その使用目的、贈与者、受贈者いずれも限定されず原則、贈与税は発生しません。また、申告等も不要です。
では、今回のケースの「学費120万円」にように、110万円を超えた場合は、どうなるかですが、結論からいうと、使途目的が、孫の教育費ということであれば、贈与税はかかりません。この場合には、「都度贈与」というものを活用します。以下、この内容について解説します。
1.贈与する人
直系尊属、すなわち受贈者にとっての父母、祖父母、養父母
2.贈与の対象となるもの
受贈者(孫など)の教育費
具体的には、孫の学習塾代や入園料、保育料、入学金、授業料や学用品の購入費など社会通念上、教育費であると認められる費用が該当します。
3.贈与の方法
今回のケースのように、「学費120万円」がかかるとした場合に、祖父母から教育費用がかかる都度、贈与をすれば、扶養義務の範囲内という考えから非課税扱いです。なお、贈与にあたっては、必要の都度、必要な金額を贈与し、贈与額や贈与日を明確にする必要があります。
4.非課税の上限額
非課税の上限額は決められていません。しかし、贈与額が一般常識的な金額を超えないことが1つの目安となります。
その他の教育資金を援助する制度
孫への教育資金を都度援助するのではなく、一括して贈与を行っても、1500万円までは、贈与税がかからない制度があります。
例えば、医師より余命数年と勧告を受け、都度贈与をしている時間がなく、早く孫に贈与をしたい場合や、認知症が不安で早めに一括で贈与したい場合など、状況に応じてこの制度を活用するとよいでしょう。
なお、この制度を活用する場合には、以下の条件が必要です。
1. 直系尊属(父母、祖父母、養父母)が、令和8年3月31日までに30歳未満の者に贈与する場合
2. 金融機関に教育資金口座の開設を行うこと
3. 教育資金非課税申告書をその口座の開設を行った金融機関に提出すること
4. 教育資金の支払いに充てた金銭にかかる領収書などその支払いの事実を証する書類等を、口座開設を行った金融機関に提出をすること
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まとめ
孫への教育資金であれば、110万円を超えて贈与しても贈与税がかからない制度があります。
孫の教育費がかかる入学時などのイベントごとに贈与すれば非課税扱いになる「都度贈与」をすればよいし、教育資金を一括贈与したい場合には、1500万円までは贈与税がかからない制度があります。それぞれの状況に応じて制度を活用するとよいでしょう。なお、制度の併用も可能です。
出典
国税庁 【贈与税の申告等】
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー