両親から「400万円」のプリウスを譲り受けました。生活用で非課税だと思うので贈与税は支払っていないのですが、問題ありませんか？

両親や祖父母から、「新しい車を買ったから」「就職や結婚祝いに」などの理由で車を譲り受けることがあります。車の贈与は、状況によって課税されるケースと課税されないケースがあるので、条件を確認しておきましょう。
 
今回は、車を譲り受けて課税されたときの条件や税額の例、課税されない条件などについてご紹介します。

車を譲り受けると贈与税の課税対象？

車を譲り受けた場合、受け取った時点での評価価格が暦年課税方式の贈与税の基礎控除である110万円を超えていると、贈与税の課税対象になる可能性があります。
 
また、国税庁によると、贈与税の計算は「その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計」すると明記されているため、他にも贈与されたものや金額がある場合はそちらも加算が必要です。
 
もし、課税対象になった場合、基礎控除を引いた金額が課税金額となります。
 
贈与税は条件によって一般税率か特例税率か異なります。もし、成人している子どもが親から贈与された場合は特例税率の対象です。
 
受け取ったタイミングでの評価価格が、400万円のプリウスを成人している子どもが親から受け取った場合、課税金額は290万円になります。290万円のとき、税率が15％、控除額は10万円となり、贈与税額は33万5000円です。
 
ただし、一定条件を満たしていれば、同額のプリウスを受け取っても課税されない可能性があります。
 

贈与税がかからないケース

車を譲り受けたときの状況によっては非課税になる可能性があります。それぞれの条件をみていきましょう。
 

車が日常生活で必要なもの

国税庁では、贈与されても非課税となる項目に「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」が設けられています。そのため、車が日常生活に欠かせないもので、両親に費用を負担してもらった場合は非課税になる可能性があります。
 
しかし、車が高級車だったり車がなくても生活できたりするような環境であれば、課税される場合もあるため、課税対象か分からない場合は税務署や専門家に聞いた方がいいでしょう。
 

名義変更をしていない

プリウスを所持していた両親の名義はそのままに、借りる形で譲り受ける方法です。この場合、所有者自体は両親のままになるので、贈与にはなりません。そのため、税金もかからないでしょう。
 
なお、自動車税の通知も両親へ届くため、名義変更なしで譲り受けるときは税金負担をどうするか話し合っておきましょう。
 

相続時精算課税を利用している

相続時精算課税は、贈与をする人が直系尊属の60歳以上、される人が直系卑属で18歳以上の場合に選択できる贈与税課税方式の一つです。暦年課税方式とは異なり、特定の直系尊属から受け取る贈与に対し、通常の基礎控除に特別控除が最大2500万円加わります。そのため、400万円のプリウスを受け取っても控除の範囲内となり、課税されないでしょう。
 
また、相続時精算課税方式を選んだ場合、その人物が亡くなるまでほかの贈与とは分けて税額を計算します。1年目で特別控除を引ききれなかったときは、残高が翌年以降の特別控除として持ち越される点が特徴です。控除しきれないときは「特別控除を超えた金額×20％」の贈与税がかかります。
 
ただし、相続時精算課税制度による贈与は、その直系尊属の方が亡くなった際に、選んでから亡くなるまでの贈与を相続財産に合計し、相続税を計算します。相続時精算課税方式の期間中に支払った贈与税があれば、相続税からの控除が可能です。
 

条件によっては非課税になる可能性もある

車の贈与も、贈与税基礎控除の110万円を評価価格が超えていれば課税対象です。400万円のプリウスなら、33万5000円の税金が課される可能性があります。
 
しかし、車の贈与は生活必需品としての贈与や、借りるものとして名義変更をしないなど、一定条件を満たしていれば非課税になるケースもあるので、チェックしておきましょう。もし、相続時精算課税方式を利用して非課税にする場合は、両親が亡くなった際に相続財産として加算する必要があるでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー（よくある税の質問）
　No.4405 贈与税がかからない場合
　No.4408 贈与税の計算と税率（暦年課税）
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー