息子夫婦の「マイホーム資金」として「500万円」ほど支援しようと考えています。やはり「贈与税」がかかるのでしょうか?
本記事では住宅建築における贈与の平均額や、贈与税の特例について解説します。
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目次
住宅建築資金の全国平均は「4319万円」で増加傾向にある
マイホーム建築の際の資金計画において、自己資金の投入金額の平均はそもそもどのくらいなのでしょうか。ここでは注文住宅に的を絞って見てみましょう。
国土交通省住宅局の公表している「令和5年度住宅市場動向調査 報告書」によれば、住宅建築資金に占める自己資金の割合は表1のようになります。
表1
| 住宅建築資金 | うち自己資金平均 | 自己資金比率(平均) | |
|---|---|---|---|
| 全国平均 | 4319万円 | 1261万円 | 29.2% |
| 三大都市圏平均 | 4943万円 | 1632万円 | 33.0% |
出典:国土交通省住宅局「令和5年度住宅市場動向調査 報告書」を基に筆者作成
同報告書によれば住宅建築資金の平均額はここ数年上昇傾向にあるため、両親から一部支援を受けて自己資金を投入するケースももちろん存在するでしょう。
住宅建築資金の自己資金に占める「贈与」の割合は「7.6%」
同じく国土交通省住宅局「令和5年度住宅市場動向調査 報告書」によれば、住宅建築資金の自己資金における贈与額の令和5年度全国平均は96万円です。これを自己資金の平均額で割ると、自己資金のうち贈与は7.6%となります。同様に、三大都市圏の場合は令和5年度の贈与額平均が111万円、贈与額の割合にして6.8%です。
上記の結果はあくまで平均値であり、親から子への贈与に限りませんが、住宅の価格に対して贈与額の平均が比較的少ないように思われるかもしれません。これにはさまざまな要因が考えられますが、そのうちのひとつに贈与税の非課税措置における条件などが関係している可能性があります。
「直系尊属からの住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」によって贈与税はかからない可能性も
特定の条件を満たした住宅取得の際の贈与には「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」が適用され、最大で1000万円までの贈与について贈与税が非課税となる場合があります。国税庁によれば、適用期間は令和8年12月31日までで、令和7年4月時点でのおもな適用条件は以下のようなものです。
●父母や祖父母など直系尊属からの贈与
●受贈者(お金を受け取る側)の贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下(物件の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1000万円以下)
●贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金を全額使用して住宅用家屋の新築等をする
●新築または取得した住宅用家屋の登記簿上の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住用に供される
なお、省エネ性能・耐震性能・バリアフリー性能といった各項目のいずれかにおいて、基準を満たした「省エネ等住宅」の場合は1000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。
いずれにせよ受贈者や、建築または購入する住宅についてはこれまで挙げた以外にも細かな要件が存在するため、非課税措置が適用可能かどうか贈与前に確認しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
マイホーム資金を親から子どもに援助する場合、条件によっては非課税措置の対象となり、贈与税がかからない場合があります。非課税措置の条件には住宅の仕様のほか、お子さんの所得状況なども含まれますので、事前によく話し合った上で贈与額を検討されるのがおすすめです。
出典
国土交通省住宅局 令和5年度住宅市場動向調査 報告書 3. 注文住宅に関する結果 3.4 資金調達に関する事項(116~117ページ)、付録 経年変化比較表(注文住宅)(362ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー