実家の遺品整理で「東京オリンピック記念1000円銀貨」を10枚発見! これを売ったら「相続税」はかかるのでしょうか?

配信日: 2025.05.02 更新日: 2025.07.02
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実家の遺品整理で「東京オリンピック記念1000円銀貨」を10枚発見! これを売ったら「相続税」はかかるのでしょうか?
実家の遺品整理をする際、「価値のありそうなもの(動産)を発見した!」ということがあるかもしれません。このとき、「これを売ったら相続税がかかるのではないか?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
 
本記事では、東京オリンピック記念1000円銀貨を10枚発見したと仮定して、「『相続税がかかる財産』にはどのようなものがあるか?」「『東京オリンピック記念1000円銀貨』はどう評価するのか?」について解説します。相続税の課税対象や動産の評価方法について解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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「相続税がかかる財産」にはどのようなものがあるか?

相続は、亡くなった方から相続人などが財産(権利・義務を含む)を引き継ぐことであり、この財産に対して課税されるのが相続税です。この場合の財産とは、動産(現金・預貯金・有価証券・宝石など)や不動産(土地、家屋)だけでなく、権利(貸付金・特許権・著作権など)など金銭に見積もることができるもの全てをいいます。
 
相続において、上記の財産を「本来の相続財産」といいますが、その他に相続税がかかる財産として「みなし相続財産」や「相続時精算課税の適用を受けて取得した財産」などがあります。
 
みなし相続財産とは、本来の相続財産ではないものの、その性格上、相続財産と認められる財産のことをいい、代表的なものに「死亡退職金」「生命保険の死亡保険金」があります。
 
本記事で取り上げた東京オリンピック記念1000円銀貨は動産であり、相続税の課税対象となります。したがって、実家の遺品整理で東京オリンピック記念1000円銀貨を10枚発見した場合、それらを含めて計算した「正味の遺産額」が相続税の基礎控除額(=3000万円+600万円×法定相続人の数)よりも多ければ、相続税が課税されます。
 

「東京オリンピック記念1000円銀貨」はどう評価するのか?

財産の評価については相続税法に規定があり、同法第22条(評価の原則)では「この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による」と規定しています。
 
東京オリンピック記念1000円銀貨をはじめとした記念硬貨は、法律において正式な貨幣として定められているため、基本的には額面金額をそのまま相続税評価額とします。ただし、プレミアが付くなどして額面と市場価格に大きな差がある場合は、上記の「当該財産の取得の時における時価」で評価したほうがよいでしょう。
 
評価方法で注意したいのは、評価はあくまで「時価」であって「買い取り価格」ではないということです。つまり、「これを売ったら相続税がかかる」のではなく、遺産として発見した時点で相続税の課税対象となり、売る・売らないに関わらず時価で評価するということです。
 
また、評価単位についても、相続税財産評価に関する基本通達に記載があります。これによると「動産の価額は、原則として、1個又は1組ごとに評価する」としています。
 
ただし、「1個又は1組の価額が5万円以下のもの」については、「それぞれ一括して」「評価することができる」としています。つまり、東京オリンピック記念1000円銀貨10枚の評価については、10枚まとめて評価すると考えられます。
 

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まとめ

本記事では、東京オリンピック記念1000円銀貨を10枚発見したと仮定して、「『相続税がかかる財産』にはどのようなものがあるか?」「『東京オリンピック記念1000円銀貨』はどう評価するのか?」について解説しました。
 
まとめとしては、以下のとおりです。
 

・「相続税がかかる財産」には「本来の相続財産」「みなし相続財産」「相続時精算課税の適用を受けて取得した財産」などがある
・「東京オリンピック記念1000円銀貨」をはじめとした記念硬貨は、基本的には額面金額を相続税評価額とするが、市場価格と大きな差がある場合は時価で評価する

 
東京オリンピック記念1000円銀貨を10枚発見したからといって、直ちに相続税が課税されるわけではありません。相続税が課税されるかどうかは、相続財産全体の問題となります。それらを含めて計算した「正味の遺産額」が相続税の基礎控除額(=3000万円+600万円×法定相続人の数)よりも多ければ、相続税が課税されます。
 
「時価で評価する」ということは、「動産の価値を現在の市場価格に置き換える」ことであり、「買い取り価格で評価する」「現金に換えたら評価する」ということではありません。つまり、売っても売らなくても取得した時点で相続税の課税対象になり、評価額に変わりはないということです。
 
本記事が、相続税の課税対象や動産の評価方法について理解を深めるための一助になれば幸いです。
 

出典

国税庁 財産を相続したとき
金融広報中央委員会 知るぽると 相続税と贈与税 3.相続税のかかる財産とかからない財産
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
デジタル庁 e-GOV 法令検索 相続税法
国税庁 法令解釈通達 第6章 動産 第1節 一般動産
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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