初孫に「五月人形」を贈りたい! スタジオの写真代まで出したら「100万円」を超えたけど、贈与税はかかりますか? お祝いなら問題ないでしょうか?
ただ、贈り物があまりに高額になると心配になるのが「贈与税」です。兜やこいのぼりなどが単品で贈与税の対象となるほど高額になることは稀かもしれませんが、どちらも揃えたり、スタジオでの写真代、両家揃っての食事代を全て負担したりした場合、総額が大きくなることも考えられます。
本記事では、孫の初節句での費用負担は贈与税に該当するかについて解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
なぜ五月人形やこいのぼりを贈るの?
端午の節句として子どもの成長を願うために贈られるものの代表が「五月人形」と「こいのぼり」でしょう。これらにはどのような意味があり、なぜこれらを贈る習慣ができたのでしょうか。
「五月人形」は兜や鎧、武者人形などさまざまな種類がありますが、共通するのは「子どもを厄や災難から守る」という願いです。かつての日本では、武士が戦で身を守るために兜や鎧を大切にしていました。また、人形には「厄を引き受ける」という意味もあり、子どもの健やかな成長を願い、子どもの代わりに厄を背負ってくれると考えられています。
「こいのぼり」は、「どんな困難にも負けず、立派に成長するように」との願いが込められたものです。その由来は中国の「登竜門」の伝説にあります。
激しい流れの黄河にある「竜門」という急流を登り切った鯉が龍になったという故事から、「努力を続ければ大きな成功をつかめる」という意味が生まれました。子どもが困難に負けず、立派な人に成長してほしいという願いが込められているのです。
端午の節句の贈り物の相場は?
コズレ子育てマーケティング研究所が2023年に行った「端午の節句や兜飾り購入」の調査によると、購入価格は「10~15万円未満」が最多となっていることが分かりました。なかには100万円近い高額なものを購入している家庭もありましたが、最近の住宅事情ではコンパクトな人形やこいのぼりが好まれることもあり、価格も高額にはなりにくいのかもしれません。
「お祝い」に贈与税はかかる?
基本的に年間110万円を超える贈与があった場合、贈与税の対象となります。ただし例外があり、贈与であっても祝儀金、弔慰金などで、社会通念上妥当と認められる内容と金額であれば贈与税は課税されません。社会通念上妥当とされる額が具体的にいくらであるかは法令上明記されていませんが、一般常識から極端に逸脱していなければ認められることが多いでしょう。
今回の節句のお祝いに関しても、この「祝儀金」に相当します。五月人形やこいのぼりのみで110万円を超えるケースは少ないかもしれませんが、贈り物のほかに写真代や食事代、お祝い金を包んだ総額が高額になることは十分考えられます。このような場合でも、この贈与の目的が「お祝い」のためのものである以上、贈与税が課税される可能性は低いと言えるでしょう。
端午の節句は子どもの成長を願い贈り物をしよう
五月人形やこいのぼりを贈るのは子どもの健やかな成長を願う日本ならではの温かい伝統です。このようなお祝いごとに関する贈与は、社会通念上の範囲であれば贈与税の対象とはならないので、もしも総額が110万円を超えても、ただちに贈与税がかかるという可能性は低いでしょう。
かわいい孫のため、あれもこれもと贈りたくなってしまいますが、大切なのは金額ではなく贈る気持ちそのものにあります。子どもの成長を祈り心のこもった贈り物ができるといいですね。
出典
コズレ子育てマーケティング研究所「端午の節句 兜飾り」の購入 市場調査2023
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級