母から子どもの「教育資金」としてタンス預金の「200万円」をもらいました。納税は済んでいると言っていたし、「課税」されませんよね?

配信日: 2025.05.09

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母から子どもの「教育資金」としてタンス預金の「200万円」をもらいました。納税は済んでいると言っていたし、「課税」されませんよね?
子どものためにタンス預金をしていたり、少しずつ貯金したものの、使う機会がなかったりして、家族がためたタンス預金を受け取ることもあるでしょう。こうしたお金を受け取ったときは、金額によっては課税対象になる可能性があります。
 
そのような場合は、お金を受け取る前に目的を聞き、制度を活用することで非課税のまま受け取れる場合があります。今回は、タンス預金を贈与されたときに課税される対象や、非課税になる制度などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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タンス預金を贈与されたときの課税対象は受け取った側

タンス預金でためたお金を受け取ったとき、場合によっては贈与税が課される可能性があります。なお、課税されるのは「タンス預金を受け取った人」です。民法第549条では「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と示されているためです。
 
タンス預金を受け取ることも、財産を無償で受け取ることを受諾したことになり、贈与と判断される可能性があるでしょう。贈与されると、財産の持ち主は贈与された人に移ると考えられます。贈与税はもらった財産の新たな持ち主に対してかかる税金なので、タンス預金をもらう前に納税されていたかは関係ないようです。
 

贈与税が課税される基準

贈与税は、1年間で財産を受け取った財産の合計額から基礎控除である110万円を引いた金額に対して課税されるといわれています。そのため、受け取ったタンス預金が110万円を超えていれば、贈与税の申告が必要です。
 
例えば、母親からタンス預金200万円、祖母から同じ年に200万円を受け取っていた場合、その年の贈与合計額は400万円です。110万円を引いた290万円に対して課税されると考えられます。
 
計算を間違えていると税務署から指摘されたり、あとから追加で税金の支払いが生じたりする可能性があるので、注意しましょう。
 

もしタンス預金200万円の贈与が課税されると税額はいくら?

今回は、以下の条件で贈与税の金額を求めましょう。

・母親からタンス預金200万円を受け取った
 
・同じ年にほかの贈与はない

まず、200万円から110万円を引いた90万円が今回の課税対象だと考えられます。この場合、国税庁によると贈与税率は10%なので、税額は9万円になる計算です。
 

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教育費としてもらえば課税されない?

贈与税には非課税項目が定められており、教育費もその1つとされています。特に、教育費を孫のためにまとめて渡したいときは「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」(以降「非課税制度」とする)を利用すると、非課税で渡せるようです。
 
非課税制度は、直系尊属の方が子どもや孫のため平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に金融機関を通して専用口座を開設し、口座を通して送金すれば1500万円まで非課税になる点が特徴とされています。ただし、送られたお金を教育資金目的以外で子どもや孫が使用すると、その金額分は通常の贈与として扱われるといわれています。
 
教育資金として使用した証明で領収書などが必要になるようなので、非課税制度を利用するときは、子どもや孫に必ず教育資金目的で使用すること、領収書をもらうことなどを伝えておきましょう。
 
また、非課税制度を使わずに、必要になるたびに直接お金を支払うことも贈与税の課税対象外と判断されるようです。そのため、頻繁に会う機会があるときは、必要になったタイミングで学費や教材費などを支払ってもらうことも、非課税になる方法の1つだといえるでしょう。
 

制度を利用せずまとめて受け取ると課税される可能性がある

タンス預金を受け取る場合、金額によっては受け取った側に贈与税が課されるようです。タンス預金のもとの持ち主が所得税や贈与税を支払っているかは関係ありません。110万円を超える金額をまとめて受け取ったときは、申告を忘れないようにしましょう。
 
ただし、贈与税の非課税制度を利用していれば1500万円までが非課税になるようです。お金の目的がはっきりしているなら、非課税制度の利用も検討しましょう。
 

出典

e-Gov 法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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