祖父から教育資金の非課税制度を活用して「500万円」をもらいました。すぐには必要ないので「200万円」を車の購入資金に使ってしまったのですが、問題ないでしょうか?
今回は、教育資金の非課税制度が適用される項目や、お金をほかの用途に使用しても問題ないか、また車の購入費用を支援してもらう方法などについてご紹介します。
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教育資金の非課税制度の条件や適用項目
教育資金の非課税制度とは、令和8年3月31日までの間で、事前に手続きをしたうえで教育資金を直系尊属(両親や祖父母など)から30歳未満の直系卑属(子どもや孫など)へ、一定要件のもと課税されずに送金できる制度です。国税庁によると、「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」とも呼ばれます。
最大で1500万円まで非課税のまま送金できるので、子どもや孫の入学費用や学費をまとめて渡したいときに役立つでしょう。ただし、非課税となるのは教育資金として使用した場合に限られます。
国税庁で示されている非課税制度が適用される教育資金の例は以下の通りです。
●入学費用、入園料、保育料
●授業料
●学用品の購入費
●修学旅行費や給食などの学校で必要な費用
●塾やピアノ教室、水泳教室など、学校以外の教育で必要な費用
●留学費用
●通学定期券代
非課税制度を利用するためには領収書などその支払いの事実を証明する書類等の提出が必要です。領収書がないと、非課税項目に該当していても制度を活用できなくなる可能性があるため、なくさないようにしましょう。
教育費としてもらったお金をほかの用途に使ってもよい?
通常、非課税制度を利用した場合や、扶養義務者から教育費や生活費として必要な金額を受け取ったときは、課税されません。しかし、今回のケースにおいて、課税されないのは教育資金のために使用した金額分のみです。もしお金の一部を教育資金の目的以外に使用すると、その金額分は通常の贈与を行ったとして課税されるでしょう。
仮に、教育資金の非課税制度の手続きをして送られた500万円のうち、200万円を車の購入費として使用したとしましょう。このケースだと、300万円は教育資金として使用すれば非課税のままですが、200万円は目的外の使用となり課税対象になります。
贈与税の計算では基礎控除(110万円)を引くため、90万円に対して税率10%がかかり、贈与税は9万円です。
なお、教育資金の非課税制度を利用せず、生活費や教育費として都度お金を受け取る形にしていた場合も、金額によっては車の購入は課税対象になる可能性があります。
課税されずに車の購入費用を支援してもらう方法
車の購入費用を支援してもらいたいなら、子どもの教育費とは別にしてもらうとよいでしょう。年間110万円までなら、課税されずにお金を受け取れます。もし200万円の車が欲しいなら、2年に分けてお金を受け取れば非課税のままお金を工面できるでしょう。
子どもの教育費は、すぐに必要でなくても将来的に必要になる可能性が高いお金です。課税されないためだけではなく、子どもの将来のためにも教育費として渡されたお金は取っておいた方がよいでしょう。
なお、車が生活必需品の世帯なら、生活費の支援として非課税になる可能性があります。生活費として支援してもらえる場合は、教育費と混ざらないようにすると、どちらも非課税になるでしょう。
教育費以外の目的に使用すると課税対象になる
教育資金の非課税制度は、30歳未満の直系卑属の教育資金のために送金し、一定要件を満たすことで贈与税が非課税になる制度です。そのため、教育費以外の目的である車の購入は、その金額に応じて贈与税が課される可能性があります。
車の購入資金を非課税のまま支援してもらいたいなら、子どもの教育費とは分けてお金を受け取った方がよいでしょう。車が生活に必要不可欠なら、課税されない可能性があります。また、年間110万円以内の支援にしてもらえば、目的にかかわらず税金は課されません。
子どもの教育資金はあくまでも子どものためにとっておき、将来必要になったら使うとよいでしょう。
出典
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(1~2ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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