ひとり暮らしの父が亡くなった。口座が凍結されても、父が契約していた公共料金の引き落としはできますか?

配信日: 2025.05.13 更新日: 2025.07.02
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ひとり暮らしの父が亡くなった。口座が凍結されても、父が契約していた公共料金の引き落としはできますか?
親が亡くなると、親の預金口座が凍結されます。では、これまで引き落とされていた公共料金等はどうなるのでしょうか? 本記事で、対処法についてFPが解説します。
植田周司

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

外資系IT企業を経て、FPとして「PCとFPオフィス植田」を起業。独立系のFPとして常に相談者の利益と希望を最優先に考え、ライフプランをご提案します。
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口座凍結のタイミング

親が亡くなると、金融機関がその事実を把握した時点で、故人名義の口座は凍結されます。これにより、預金の入出金が停止され、口座引き落としもできなくなります。
 
では、金融機関はどのようにして預金者の死亡を知るのでしょうか?
 
通常は相続人や遺言執行者からの申し出により知りますが、例外的に新聞のお悔やみ情報などから知ることもあります。ただし、市区町村に死亡届を提出しても、金融機関に通知が届くことはありません。
 
このことは公共料金の引き落としなど、故人の口座の主な入出金が終わる頃に金融機関へ手続きをすることで、口座凍結を遅らせることが可能です。
 
また、個人のキャッシュカードとその暗証番号が分かっていれば、口座凍結の前に葬儀費用等を引き出すことも可能です。しかし、こうした行為は相続人同士のトラブルにつながることがあり、特に故人に借金がある場合は、相続放棄ができなくなるリスクもあるため、注意が必要です。
 

公共料金の支払いについて

口座が凍結された後でも、公共料金の支払い義務は残ります。しかし、凍結された口座からの自動引き落としは停止されるため、他の支払方法を考える必要があります。口座凍結後の対応策として、以下の3つが考えられます。
 
1. 銀行口座の仮払い制度を利用する
口座凍結後でも、一定の条件の下で銀行から仮払いを受けることができる制度です。葬儀費用や公共料金の支払いなど、緊急に資金を必要とする場合に利用できます。
 
ただし、金融機関が定める必要書類(死亡診断書、相続関係を証明する書類など)の提出が求められます。
※引き出せる上限金額は、預貯金残高の1/3×法定相続分で最大150万円まで。
 
この制度は、葬儀費用等まとまったお金が必要な場合に柔軟に活用することで、預金を引き出し支払いに充てることが可能になります。しかし、数万円程度の公共料金を支払うためにこの制度を利用するのは、必要な書類が多くメリットは少ないと考えられます。
 
この制度を利用しても故人の口座から公共料金が支払われるのではなく、仮払いを受けた相続人が立替払いすることになります。
 
2. 相続人名義で支払う
口座凍結により引き落としができなくなると、郵送により未払い料金の振り込み依頼(督促)が届きます。案内に従い、相続人の代表者が立替払いをして遺産分割で清算します。領収書は、大切に保管しておきましょう。
 
3. 支払方法を変更する
相続手続きが完了する前でも、公共料金の名義を変更したり、新規契約を結んだりすることが可能です。これにより、未払いの公共料金の請求が停止され、新しい名義または契約先での支払いが可能になります。企業ごとに手続きが異なるため、具体的な方法については、各公共料金提供会社に直接問い合わせてください。
 
支払方法がクレジットカード払いになっている場合は、カード利用料の引き落としができなくなります。この場合はカード会社の請求書(督促状)が届きますので、その指示に従い支払いを行うとともに、公共料金の支払方法の変更・解約を進めましょう。
 
基本は、できるだけ早く継続使用なら契約者の変更、終了なら解約手続きをすることです。遅くなればなるほど、不要な支払いが増える可能性があります。
 

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相続放棄する場合の注意

相続放棄は、家庭裁判所への手続きが必要です。相続放棄が認められるためには、「相続財産を管理・処分した事実」がないことが条件です。そのため、故人の未払い料金を善意で支払ってしまうと、それが「相続財産の管理」とみなされ、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
 
相続放棄を検討している場合は、必ず事前に法律の専門家へ相談するようにしましょう。
 

まとめ

冒頭のご相談のように、親がひとり暮らしで亡くなったとき、最初に直面するのが口座凍結に伴う問題です。
 
しかし、相続制度や仮払い制度を正しく理解し、上手に対処することで、公共料金の支払いなどの問題を円滑に乗り越えることができます。適切な手続きを行うことで、親の遺産をスムーズに管理し、新たな生活に向けての準備を進められるようになるでしょう。
 
困ったことや疑問点がある場合は、早めに法律の専門家やファイナンシャルプランナーに相談し、最適な解決策を見つけることをお勧めします。
 
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)

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