「祖父から」の教育費は非課税でも「叔父から」だと課税される? 「教育費の贈与が非課税」になる条件にはどのようなものがある?
あとで気づいて申告・納付忘れをしていた、とならないように、課税される条件を知っておきましょう。今回は、叔父からの教育費が非課税になるのか、また非課税になる項目などについてご紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
叔父からの教育費の支援は非課税になる?
叔父からの金銭的支援は、例え教育費であっても課税される可能性があります。国税庁の非課税項目には生活費や教育費がありますが、条件の1つとして「扶養義務者から」と示されているためです。
民法第877条によると、扶養義務者は以下の人物が該当します。
●直系血族
●兄弟姉妹
●3親等内の親族(特別な事情により家庭裁判所が認めた場合)
叔父は本人から見て3親等の親族です。民法上は事情が認められれば扶養義務者となりますが、事情がなければ認められません。そのため、特別な事情がない限り、叔父から甥や姪への教育費の支援は通常の贈与と判断され、本人に贈与税が課される可能性があります。
例えば、叔父から1年間で入学費や教材費、寮の生活費などで合計600万円の教育費を受け取り、全額が贈与税の課税対象となったとしましょう。贈与税には110万円の基礎控除が設定されているため、差し引いた490万円が課税対象になると考えられます。
扶養義務者からの教育費でも課税対象になるケースがある
金額が実際に必要な教育費の範囲を大幅に超えていれば、両親や祖父母からのお金であっても課税対象になる可能性があります。教育費が課税されないのは必要になった範囲のみのためです。
また、国税庁では教育費や生活費の支援は、必要になるたびに直接その費用のために支払われたものに限るとも示されています。そのため、例え教育費目的であっても、500万円必要なところを1000万円渡したり、受け取った側が教育費以外に使用したりすると、課税される可能性があるので注意が必要です。
両親や祖父母などから教育費の支援をするときは、事前に必要な金額と用途を聞いて、必要な金額分だけ送るようにしましょう。
叔父からの贈与で非課税になるものとは
叔父からの贈与で非課税となるのは、まず基礎控除額の範囲内である年間110万円以内の資金援助を受けたときだと考えられます。基礎控除を超えなければ、そもそも贈与税は課されません。また、目的も教育費に絞らず使用できるため、受け取った側も使い道を自分で決められるメリットを得られる可能性があります。
ほかに、進学祝いとして渡すことも非課税となる方法の1つとされているようです。国税庁では、お年玉やお祝いのための贈与は社会通念上相当と判断される範囲であれば非課税になると示されています。ただし、あまり高額すぎると課税される可能性があるため注意が必要です。
基本的に教育資金の援助が非課税になるのは直系血族と兄弟姉妹から
教育費のサポートが非課税と認められるのは、扶養義務者から受け取った場合のみとされているようです。扶養義務者は原則直系血族か兄弟姉妹からと民法で定められているため、叔父からの教育費は通常の贈与扱いになると考えられます。ただし、特別な事情により家庭裁判所が認めた場合などは、3親等である叔父も扶養義務者と判断される可能性はあります。
もし、扶養義務者でない状態で非課税のままお金を支援したいなら、年間の贈与額を基礎控除内にするか、進学祝いとしてお金を渡すとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
e-Gov 法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー