祖母が10年以上タンス預金で貯めていた「600万円」を受け取りました。贈与税が発生すると思うのですが、いくら引かれるでしょうか?

配信日: 2025.05.22 更新日: 2025.07.02
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祖母が10年以上タンス預金で貯めていた「600万円」を受け取りました。贈与税が発生すると思うのですが、いくら引かれるでしょうか?
祖母が自宅で10年以上かけて貯めたタンス預金600万円を受け取った場合、どのくらいの税金がかかるのか、また贈与税の手続きはどのように行えばよいのか気になる方もいるでしょう。個人から財産を受け取った場合、金額によっては贈与税がかかります。
 
そこで今回は、贈与税の基本的な仕組みや申告手続きについて詳しく解説していきます。
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贈与税について

贈与税は個人から金銭や不動産などの財産をもらった際にかかる税金で、今回の事例のような現金の受け渡しも対象です。贈与税にはおもに2つの課税方式があり、どちらを選ぶかによって税率や手続き方法は異なります。
 

暦年課税

1年間(1月1日から12月31日まで)に受け取った財産の合計額が110万円を超えた場合、その超えた分に対して贈与税が課される方法を暦年課税といいます。
 
祖母から600万円を一括で受け取った場合は110万円を超過しているため、暦年課税に基づく贈与税の申告が必要です。税率は、受け取った金額から基礎控除を差し引いた額に応じて10%~55%となっています。
 

相続時精算課税

相続時精算課税は、相続時にまとめて精算する制度で、次の条件を満たす場合に選択可能です。

●贈与者は60歳以上の父母または祖父母など
●受贈者は18歳以上の子または孫など

国税庁によれば、この制度を希望する場合は、初めて相続時精算課税に係る贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに一定の書類を添付した「相続時精算課税選択届出書」を納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。
 
また、この制度を一度選択すると、対象となる人から受けた贈与については今後暦年課税へ変更することはできないため注意しましょう。
 
国税庁によると、この制度における贈与税と相続税の計算方法は次の通りです。
 

【贈与税の計算方法(令和6年1月1日以後の贈与の場合)】

(1)1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額の合計額から、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を引く。

(2)(1)から特別控除額(限度額2500万円で、前年以前にすでに控除している場合は残額が限度額)を引く。

(3)(2)で引いた残額に一律20%の税率をかける。

(4)特定贈与者以外から受けた贈与について、暦年課税で贈与税を計算する。

(5)(3)と(4)の金額が納付する贈与税額となる。

 

【相続税の計算方法】

(1)特定贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額と、相続や遺贈で取得した財産の価額を合計し、相続税を計算する。
 
(2)(1)の金額からすでに納めている相続時精算課税に係る贈与税相当額(贈与税の計算(3)の金額)を控除した分が、実際に納付する相続税額。なお、相続時精算課税に係る贈与税相当額よりも相続税額の方が少ない場合は、申告により差額の還付を受けることができる。

 

暦年課税を選択した場合の贈与税額

今回のケースに当てはめて、暦年課税における実際の贈与税額を計算していきます。条件は以下の通りです。

●贈与を受けた受贈者は18歳以上である
●このほかの贈与はなかったものとする

上記条件で600万円を祖母から1年で贈与された場合、国税庁によれば、特例税率が適用されて贈与税額は次の通りです。

基礎控除後の課税価格:600万円-基礎控除110万円=490万円
贈与税額:490万円×20%-控除額30万円=68万円

もし受贈者が18歳未満の場合には一般税率が適用され、基礎控除を引いた後の490万円に対して税率30%(控除額65万円)を適用します。贈与税額は82万円です。
 

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贈与税の申告方法

贈与税の申告は、財産を取得した年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与を受けた本人が所轄の税務署に申告書を提出したうえで納税する必要があります。
 
申告方法はe-Tax(電子申告)、郵送、税務署へ持参などがあります。期限内に贈与税の申告や納付が行われないと贈与税のほかに加算税や延滞税が発生する可能性もあるため、速やかに行うようにしましょう。
 

贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに申告と納税が必要

祖母からタンス預金の600万円を受け取った場合は基本的に贈与とみなされ、贈与税の課税対象になります。贈与を受けた場合、金額によっては贈与税の申告が必要です。申告手続きは財産を受け取った翌年の2月1日から3月15日までに行い、期限内に税金を納める必要があります。
 
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方式があり、それぞれ適用条件や税率などが異なります。どちらを選ぶかによって将来的な税負担も変わるため、制度を理解したうえで選択することが大切です。申告に際して不安がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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