両方の両親から「結婚祝い」を100万円ずつもらったのですが「税金」は払うのでしょうか?新生活や結婚式に充ててもう残っていません…。
ただし、その贈与額が一定の金額を超えると「贈与税」が発生する可能性があり、すでに使ってしまっていても申告や納税の義務が残るケースもあるため注意が必要です。
本記事では、贈与税の仕組みや非課税制度、注意点などについて解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
結婚祝いでも税金がかかることがある?
結婚祝いは、おめでたいお金というイメージが強く、税金とは無縁のように思えるかもしれません。しかし、一定の条件を超えると「贈与税」の対象になることがあります。まずは、贈与税の基本ルールと、結婚祝いが課税されるケースを見ていきましょう。
贈与税の基本ルール
贈与税とは、個人から個人へ財産を無償で受け取った際にかかる税金です。国税庁の定めでは、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与の合計が110万円を超えると、その超えた金額に対して贈与税が課税されます。
今回のケースのように、両家のご両親からそれぞれ100万円ずつ、合計200万円を1人が受け取っている場合では、110万円の非課税枠を差し引いた90万円が課税対象となります。税率10%が適用されるため、贈与税としておよそ9万円を納める必要があります。
ただし、もし夫婦それぞれが自分の両親から100万円ずつ受け取った場合は、それぞれの受け取った金額が110万円以下となるため、贈与税はかかりません。
社会通念上相当の範囲なら非課税になる?
結婚祝いなどのお祝い金については、社会通念上相当と認められる金額であれば贈与税が課されないこともあります。ただし、明確な上限はなく、贈与者との関係性や金額、贈与の目的などによって判断されます。
親から子への100万円以上の贈与は、結婚のためという理由があっても常識的な範囲を超えるとみなされる可能性があります。ただ、だからといって税務署から指摘されるリスクがないとは言い切れません。
結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度を使えば税金がかからない?
親や祖父母からの資金援助については、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度」を活用すれば、一定額まで贈与税がかかりません。
利用期間:令和9年3月31日まで
受贈者の年齢:18歳以上50歳未満
非課税限度額:結婚関連資金として300万円まで、子育て資金も含めた総額で1000万円まで
贈与者の条件:父母や祖父母などの直系尊属
手続き:金融機関に専用口座を開設し、非課税申告書を提出
この制度では、結婚式費用・新居準備・引っ越し費用・仲人謝礼など、結婚に直接関わる支出が対象になります。事前に専用口座を作成し、領収書などの証憑を提出する必要があるため、すでに受け取った資金を使い切ってしまった場合は原則として適用されません。
すでに使ってしまったらどうすればいい?
贈与税の対象になるにもかかわらず、「もう結婚式や新生活で使ってしまって手元にお金がない」という方も多いと思われます。しかし、税金の対象は「もらったかどうか」で判断されます。使ってしまっても、贈与があった事実に変わりはないため、贈与税の申告と納付が必要です。
申告期間:贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日
納付期限:同じく3月15日まで
提出先:受贈者の住所地を管轄する税務署
必要書類:贈与税の申告書、贈与契約書(ある場合)、本人確認書類など
例えば、2024年中に贈与を受けた場合は、2025年3月15日までに申告と納付が必要です。うっかり申告を忘れると、延滞税や無申告加算税が課される可能性があります。
トラブルを防ぐためのポイント
今後、親族からまとまった金額の支援を受ける可能性がある場合、以下の4点を意識しておくと安心です。
(1)年110万円以内にとどめる
毎年の贈与額を基礎控除の範囲内に抑えれば、申告も納税も不要になります。
(2)できるだけ制度を利用する
非課税制度は適用範囲が明確なので、事前に調べて積極的に活用しましょう。
(3)記録を残しておく
贈与契約書を作成したり、銀行振込にして証拠を残したりすることで、トラブル回避になります。
(4)税理士や税務署に相談する
金額が大きい場合や判断が難しい場合は、専門家に相談するのが確実です。
結婚祝いでも税金ゼロとはかぎらない
親からの結婚祝いというと「家族間の贈与だし、税金はかからないはず」と思われがちですが、金額によっては贈与税が発生します。今回のように200万円を一度に受け取った場合、110万円を超える部分について課税対象となるため、早めの確認と対応が重要です。
すでに使ってしまっていても、贈与があった事実に変わりはなく、後から申告漏れが指摘されると余計な負担が生じます。結婚という人生の節目だからこそ、税金についてもきちんと理解し、安心して新生活をスタートさせましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
こども家庭庁 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー