「何か困ったときに売りなさい」と祖母からもらった金のネックレス。相場を調べたら「200万円」だったのですが、「贈与税」の対象になりますか?
そこで今回は、金のジュエリーは贈与税の対象になるアイテムなのか、どのような場合に贈与税に該当するかについてご紹介します。
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金のジュエリーは贈与税の対象になるのか
贈与税は、財産としてみなされるものに課せられる税金です。金のジュエリーは、貴金属と同様に財産として保有できるため、贈与税の対象となる可能性があります。
なお、金のネックレスも業者による買い取りが行われており、2025年5月27日時点での金の相場価格は、1グラム当たり1万6500円前後とされています。
ネックレスなどのジュエリーによく使用されている「18K」も、同日で1グラム当たり1万2500円前後となっており、金は経済的価値があるものとして認識されています。贈与税の適用条件を満たしている場合、金のジュエリーや貴金属は、贈与税の課税対象になるアイテムです。
金のジュエリーで贈与税が発生する条件
贈与税の課税制度は、暦年課税制度と相続時精算課税制度に分けられます。
国税庁によると、暦年課税制度では、1年間で贈与を受けた財産の合計価格が110万円以上の場合に発生します。そのため、財産としてもらった金のジュエリーが110万円以上で売れる場合は、贈与税の対象です。
また、金のジュエリーが110万円未満でも、贈与税が発生する可能性もあります。例えば、2025年1月1日~12月31日のあいだに、金のネックレス90万円、現金50万円をもらった場合、財産として受け取った金額は140万円になるため、贈与税の課税対象です。
ただし、香典や年末年始の贈答品、祝物などの金品で「社会通念上相当」と認められる場合は、贈与税は発生しません。ただし、社会通念上相当かは税務署が判断するものであり、自身で決められるわけではないため注意しましょう。
また、相続時精算課税制度が適用される場合は、毎年110万円の基礎控除に加えて、全期間で2500万円までは贈与税を納めずに金などの受け取りができます。(60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への生前贈与の場合)
このような条件を満たしているか満たしていないかで贈与税の対象になるかが異なり、暦年課税制度の場合は、金のジュエリー相場が200万円であれば課税対象になるでしょう。
手渡しでもらった金のジュエリーはバレない?
手渡しでもらった金のジュエリーや貴金属はバレる可能性があり、贈与税の申告が必要です。金のジュエリーや貴金属の贈与が税務署に知られる理由は以下の通りです。
・相続時に税務調査が行われる:税務署は贈与者が亡くなったあとも金融機関の履歴など確認でき、申告していない場合は特に細かいチェックが行われる場合もある
・売価金額が200万円を超える場合は、マイナンバーの提示が求められたり、支払調書が送られたりする:税務署がすぐに情報を調べられる環境にあり、申告漏れがすぐに発覚する
例え手渡しであっても、自身の金銭の使い方によってバレる可能性や、売却した際の情報提示で税務署の調査が行われる可能性があります。
贈与税の申告を行わなかった場合、ペナルティーとして加算税が適用されたり罰金を科せられたりする場合もあるでしょう。相続税法第69条では、正当な理由がなく、期限内に申告書を提出しなかった場合は、一年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしています。
手渡しでもらった金のジュエリーなどの財産が贈与税に該当する場合は、ペナルティーを受けないためにも必ず申告を行いましょう。
金のジュエリーは贈与税の対象になる可能性が高い
金のジュエリーや貴金属は、年間の贈与金額の合計が110万円以上の場合、贈与税の対象となります。仮に、金のジュエリーが100万円の売値でも、ほかにも同年に贈与された金品がある場合は110万円以上になるケースも考えられるため、贈与税の計算は注意が必要です。
また、金のジュエリーや貴金属が200万円以上で取引が行われる場合、業者は支払調書を税務署に送る必要があります。税務署に贈与税の申告を行っていなかった場合、ペナルティーの対象となるため、贈与税に該当する場合は速やかに申告を行いましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
e-Gov 法令検索 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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