4月から都内で一人暮らしを始めた大学生の息子。月10万円の「仕送り」にも贈与税はかかってしまいますか…?
この記事では、親から子への仕送りに贈与税がかかるかどうか、非課税になる条件、注意点について分かりやすく解説します。
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目次
仕送りに贈与税はかかる? 基本の考え方
民法上、「贈与」とは無償で財産を渡す行為を意味し、原則として贈与税の課税対象になります。しかし、仕送りには贈与税がかからないとするのが一般的な考え方です。
仕送りが非課税となる理由
国税庁によると、親から子への仕送りが「通常必要な生活費や教育費」である場合、贈与税の対象にはならないとされています。この「通常必要な生活費や教育費」は、日常生活のための支出や、通学に必要な費用などを指します。
学費についても、扶養義務者である親が支払っている場合は原則として贈与税の対象外です。
高額な仕送りの注意点
ただし、不相応に高額過ぎる仕送りは贈与とみなされる可能性が高いため注意してください。ブランド品や車といった高額商品の購入、海外旅行などにかかる費用は、「通常必要な生活費」には該当しないでしょう。
そのため、たとえ生活のために使ったお金だとしても、一般的な生活水準を大きく超えるものについては、贈与税を課せられる可能性があります。
月10万円の仕送りは非課税になる?
では、月10万円の仕送りは非課税になるのでしょうか。独立行政法人日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査報告」によると、都内でアパート等で一人暮らしをする大学生の生活費は、月額10万~11万円程度が一般的です。
東京都のアパート・マンションのワンルームの家賃相場は、23区内で5万6000~11万2000円、23区外で3万1000~6万6000円です(2025年4月10日時点)。家賃だけでも少なくとも3万~4万円はかかる可能性が高いことからも、月10万円の仕送りは標準的な生活費を補う範囲内と考えられるでしょう。
贈与税が発生するリスクと注意点
仕送り金は、生活費や学費として直接使用されることが前提です。他の用途に使ってしまった場合は仕送り本来の趣旨に反し、贈与と認定されるおそれがあるので注意してください。
貯金や資産形成は贈与と見なされることも
生活費のための仕送り金が実際には支出されず貯蓄に使われると、その金額分が贈与税の課税対象となる可能性があります。税務署は実際の使途に注目して課税可否を判断するため、家計簿で管理するなどして使途を明確にしておいてください。
一括送金はリスクが高い
例えば1年分の仕送りをまとめて一括送金すると金額が大きくなるため、通常の生活費や教育費を超えると見なされ、贈与税の対象となるリスクが高まります。仕送りをする際は、必要な金額をその都度送金することが大切です。
仕送りをするために知っておきたいこと
仕送り金に贈与税がかからないようにするため、次のポイントを知っておくと安心です。
仕送り用口座の管理でリスク回避
親から子への仕送り「仕送り契約書」などは不要です。しかし、贈与と見なされないようにするために、送金履歴や支出の証明は残しておいてください。仕送り専用口座を設け、生活費支払いに利用すれば、使途の証明がしやすくなります。また、領収書や支払明細を保管しておくとさらに安心です。
家賃や水道光熱費といった毎月発生する固定費は、口座引き落としにしておくと通帳に履歴が残るため、記録を残す手間も省けます。
定期的な見直しも忘れずに
子どもの生活環境や収支状況は変わるものです。定期的に生活費の状況を確認し、仕送り額が過剰になっていないか見直すことをおすすめします。
不安な点があれば、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、安心して仕送りを続けられます。
仕送りに贈与税はかからないが使途に注意を
親から子どもへの仕送りは、通常必要な生活費や教育費の範囲内であれば贈与税は課されません。月10万円の仕送りも、都内で一人暮らしをする大学生の生活費水準を考えれば問題ない範囲といえます。ただし、仕送り額や使い道には注意が必要です。親子でしっかりと管理し、安心して支援できる環境を整えて、不安があれば専門家に相談するようにしましょう。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度 学生生活調査報告(7ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー