年金暮らしの親への仕送りは「贈与」にあたる?300万円仕送りしたケースで解説

配信日: 2025.06.24 更新日: 2025.07.02
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年金暮らしの親への仕送りは「贈与」にあたる?300万円仕送りしたケースで解説
年金暮らしの親に仕送りをしているという方が時折いらっしゃいます。しかし、親子間であってもお金の支援が贈与扱いとなり贈与税の課税対象となることもあります。
 
そこで、今回は年金暮らしの親に向けた仕送りと贈与税の関係について考えていきます。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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親への仕送りが生活費のためであれば贈与税はかからない

結論から申し上げますと、子から親への仕送りが生活費のためであり、それが通常必要と認められる範囲のものであれば、贈与税の発生する贈与とはなりません。
 
なぜなら、夫婦や親子、兄弟姉妹など扶養義務関係にある者同士で行われた生活費や教育費目的の贈与は、通常必要と認められる範囲内の金額であれば贈与税が非課税とされているからです。扶養義務は親から子に向けられるものと思われがちですが、実際には子から親へ向けられるものも該当します。
 
なお、ここでいう生活費とは、仕送りを受ける方が日常生活を送るのに必要な費用をいいます。もちろん病院で治療を受けたりする治療費なども含まれます。
 
しかし、名目上生活費や教育費とされていても、その額が過大であったり、実際には生活費として利用されなかったりした場合、贈与税の課税対象とみなされる可能性があります。
 
例えば、親が仕送りを受けたお金について貯金をしていたり、それで株式を買っていたりするなどという場合です。こういった場合は生活費として仕送りしていても実質は生活費として使われていないとして贈与税の課税対象となるのです。
 

贈与税には基礎控除がある

親への仕送りが仮に贈与税が課税される可能性のあるものだとしても慌てる必要はありません。贈与税は1円の贈与から発生するわけではないからです。年間(1月1日から12月31日まで)に贈与された財産の合計が基礎控除(110万円)を超えた部分に発生します。
 
仮に親への仕送りが贈与に該当したとしても、基礎控除の110万円以下であれば贈与税は発生しないためご安心ください。
 

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仮に贈与税が発生したらどれくらいの税負担になる?

では、実際に贈与税が発生したらどれくらいの金額になるのか考えてみましょう。贈与税の税率は、贈与者との関係や受贈者の年齢、贈与された財産の額によって変動します。税率は最低で10%、最大では55%となります。また、課税価格によっては控除もあります。
 
例えば、親への仕送り300万円が生活費として使われず貯金されていた場合で考えてみます。この場合、基礎控除110万円を引いた190万円が課税対象となる贈与になります。その際、国税庁の「贈与税の速算表」で確認すると、贈与税の税率は200万円以下として10%になります。計算すると贈与税の額は19万円となるわけです。
 

親に定期的に仕送りをしているなら「扶養控除」の活用を

自身に扶養している家族がいる場合、一定の要件を満たせば、その方を税法上の扶養に入れることで、その方の年齢などに応じて扶養控除という所得控除を受けることができます。
 
扶養に入れるには同居が絶対ではなく、納税者と生計を一にしているといえるほど定期的に仕送りをしているなど所定の条件を満たすことで、別居している親も扶養に入れることができるのです。
 
扶養控除による控除額は原則38万円ですが、親がその年の12月31日時点で70歳以上であれば48万円(同居老親等であれば58万円)に控除額が引き上げられます。
 
扶養に入れる手続きは簡単で、会社員であれば年末調整時に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の扶養している親族を記載する欄に必要事項を記載するだけです。自営業者であれば確定申告書の扶養している親族を記載する欄に記載しましょう。
 

税負担が気になるのであれば親への仕送りは生活に必要な範囲にとどめておくべき

親への仕送りは生活に必要な範囲内においては贈与税の発生する贈与に該当しません。ただし、それが生活費に使われていなかったり、金額が通常の生活に必要ないほど過大であったりすると贈与税の課税対象となります。
 
税負担を気にするのであれば、親への仕送りについては生活に必要な金額にとどめておくとともに、扶養に入れることについても検討してみてください。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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