先月70歳の誕生日を迎え、そろそろ「相続」の準備を考えています。「遺産相続」と「生前贈与」、どちらがお得でしょうか?「5000万円」を相続・贈与するケースで検証

配信日: 2025.06.30 更新日: 2025.07.02
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先月70歳の誕生日を迎え、そろそろ「相続」の準備を考えています。「遺産相続」と「生前贈与」、どちらがお得でしょうか?「5000万円」を相続・贈与するケースで検証
今ある資産を家族に残す場合、「遺産相続」と「生前贈与」の2つの方法があります。本記事では、どちらがお得か、メリット・デメリットを踏まえ解説します。また、例を基に具体的にどのくらいの税金がかかるか見ていきましょう。
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「遺産相続」のメリット・デメリット

遺産相続は、所有者が亡くなった後に財産を受け継ぐことを指します。
 

【メリット】

・税率が低い
相続の際に発生する「相続税」は、後述の贈与税よりも税率が低い傾向です。また、基礎控除金額が比較的大きく、一定金額以内であれば非課税で受け取れます。計算式は以下の通りです。
 
基礎控除金額=3000万+600万×法定相続人の数
 
表1は、相続税と贈与税の税率をまとめたものです。今回は、特例贈与財産用のケースを見ていきます。
 
表1

課税対象金額 相続税/税率(控除額) 贈与税/特例税率(控除額)
1000万円以下
(贈与税は600万円超1000万円以下)
10% 30%(90万円)
1000万円超1500万円以下 15%(50万円) 40%(190万円)
1000万円超3000万円以下 45%(265万円)
3000万円超4500万円以下 20%(200万円) 50%(415万円)
4500万円超5000万円以下
(贈与税は4500万円超以降同税率)
55%(640万円)
5000万円超1億円以下 30%(700万円)
1億円超2億円以下 40%(1700万円)
2億円超3億円以下 45%(2700万円)
3億円超6億円以下 50%(4200万円)
6億円超 55%(7200万円)

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4155 相続税の税率」「タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」を基に筆者作成
 

【デメリット】

・必ず渡したい相手に財産が相続される保証はない
自分が死亡した後に手続きが行われるため、相続人同士でトラブルなどが発生した場合、希望通りに相続されるとは限りません。遺言などでしっかりと意思を示す必要があります。
 

「生前贈与」のメリット・デメリット

生前贈与は、所有者が生きている間に財産を譲渡する行為です。
 

【メリット】

・渡したい相手に任意のタイミングで贈与できる
所有者は、贈与のタイミングを任意で決められるため、家族の出費が必要な機会に合わせられます。また、遺産相続とは異なり、渡したい相手に財産が受け継がれたかどうかを確認できるのも特徴です。
 
・一年ごとに基礎控除が適用される
贈与税には暦年課税という制度があり、毎年110万円までは基礎控除の対象にできます。そのため、数年をかけて少しずつ贈与を行うことで、非課税で全ての財産を譲渡することが可能です。
 

【デメリット】

・時間がかかる
暦年課税は申請や手続きが必要であるため、時間がかかります。
 
・相続税の対象になることもある
相続開始前の一定期間(3~7年)に行われた生前贈与は、相続財産に加算して相続税率を計算する「生前贈与加算制度」という制度により相続税の加算対象となる可能性があるため注意が必要です。
 
また、令和6年1月より生前贈与加算の期間が延長されており、対象期間は以下の通りです。
 

・~2026年12月31日:相続開始前3年以内(亡くなった日からさかのぼって3年前の日から亡くなった日までの間)
・2027年1月1日~2030年12月31日:2024年1月1日から亡くなった日までの間
・2031年1月1日~:相続開始前7年以内(亡くなった日からさかのぼって7年前の日から亡くなった日までの間)

 

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「5000万円」を相続・贈与するケース

5000万円の財産を2人の子どもに一括で譲渡すると仮定して、相続・贈与の際にかかる税金をそれぞれ見てみましょう。
 

・遺産相続の場合

まずは課税の対象になる金額を算出します。
 
課税対象金額=5000万-(3000万円+600万円×2)=800万円
 
1名ずつの法定相続分は、800万円÷2=400万円ずつ
 
この際にかかる相続税は10%です。よって、相続税は以下の通りです。
 
各人の相続税は400万円×10%=40万円となり、
相続税総額=40万円×2=80万円
となります。
 

・生前贈与の場合

基礎控除金額は110万円であるため、課税の対象になる金額は以下のように算出します。
 
課税対象金額=5000万円-110万円=4890万円
 
この際にかかる贈与税は55%です。
 
贈与税金額=4890万円×55%-640万円(特例税率の控除)=2049万5000円
 
数字だけを見れば相続税のほうが低いものの、生前贈与は計画的に行うことで、支払う税金を減らせます。譲渡にかけられる時間も考慮し、適した方法を選びましょう。
 

まとめ

財産を譲渡する際は、遺産相続のほうがお得です。しかし、生前贈与を長期的に少しずつ行うことで、遺産相続よりも税金を安く済ませられる場合があります。本記事を参考に、自分に合った終活の計画を立てましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4155 相続税の税率
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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