「中学受験」を目指す我が子、父が「月額5万円の学習塾費」の援助を申し出てくれました。学習塾費でも「教育資金贈与の非課税制度」の対象になりますか?
本記事では「教育資金の贈与」について、非課税制度に含まれるもの・含まれないものの例や、併用可能な贈与制度について解説します。
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「学習塾費」は「教育資金贈与の非課税制度」に含まれる
「教育資金贈与の非課税制度」とは、30歳未満の方が教育資金に充てるため祖父母などから一括贈与を受けた場合に、1500万円を限度として非課税になる制度で、適用されるためには「教育資金口座」の開設が必要です。
文部科学省の「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A(令和6年4月現在)」によれば、「学校等以外の者に支払われるものについては500万円を限度とする」「非課税の500万円には学習塾や家庭教師など教育活動の指導の対価や施設使用料などが含まれる」とあります。
「学習塾費」は「学校等以外のものに支払う、教育活動の指導の対価」ですので、学校以外での他の教育活動にかかる費用と合わせて「500万円を超えない範囲」であれば、非課税になる可能性があるといえそうです。
「塾や習い事」のうち対象になるもの・ならないもの
「塾や習い事」とひと口に言っても該当する範囲は多岐にわたるため、教育資金として贈与をしたり、受けたりしていいのか判断に迷う場合もあるかもしれません。先ほどの文部科学省のQ&Aでは、教育資金に該当する費用の例として、以下のような支払先を挙げています。
●学習(学習塾・家庭教師、そろばん、キャンプなどの体験活動など)
●スポーツ(スイミングスクール、野球チームでの指導など)
●文化芸術活動(ピアノの個人指導、絵画教室、バレエ教室など)
●教養の向上のための活動(習字、茶道など)
一方で、以下の点に注意が必要です。
●指導を行う者を通さず個人で購入した場合(例:塾のテキストやラジオ講座のテキストを一般書店で購入、野球のグローブを専門店で購入)
●塾や習い事から業者を通じての購入や支払を保護者に依頼している資料等が出ていたとしても、物品の費用は対象となりません。
●塾や習い事の保護者会費や後援会費は、対象となりません。
一般的な金額であれば「暦年贈与」や「都度贈与」も併用可能
ちなみに、教育資金の非課税制度に限定せずとも、贈与税非課税で贈与できる可能性のある方法はいくつか存在します。そのうちの一つが「暦年贈与」「都度贈与」を利用する方法です。
国税庁タックスアンサーによると「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」は「暦年贈与」「都度贈与」に該当し、贈与税の非課税が認められています。
「暦年贈与」は年間の基礎控除額である「110万円以下」を贈与する方法で、「都度贈与」は必要になったタイミングでその都度「一般的な金額」の範囲で贈与する方法です。入学金などのまとまったお金が必要になるタイミングならばともかく、月5万円の学習塾費であれば、こちらを利用したほうがより簡便かもしれません。
まとめ
「月5万円の学習塾費」の援助は、ある程度の金額までなら教育資金非課税制度の対象内ですが、暦年贈与や都度贈与で十分である可能性もあります。お子さんは中学受験を目指されているということですので、将来的な教育資金の展望も考慮したうえで相談するといいでしょう。
出典
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A(令和6年4月現在)(26ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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