孫が有名私大を目指しており、合格すれば「初年度費用」で130万円程かかります。「全額」出してあげると贈与税がかかるでしょうか?

配信日: 2025.07.01 更新日: 2025.07.02
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孫が有名私大を目指しており、合格すれば「初年度費用」で130万円程かかります。「全額」出してあげると贈与税がかかるでしょうか?
お孫さんが有名私立大学を目指して努力している姿を見て、「入学金や授業料は応援の気持ちを込めて全部出してあげたい」と思う祖父母の方も多いのではないでしょうか。
 
しかし、ここで気になるのが“贈与税”の問題です。130万円もの大きな金額を援助する場合、「贈与税の対象になるのでは?」「申告が必要?」「何か特例制度はあるの?」といった疑問が浮かびます。
 
本記事では、教育費を負担する際に知っておきたい贈与税の基本ルールと、非課税で援助するための方法について解説します。
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教育費の援助でも贈与税がかかることがある?

まず知っておきたいのは、「子や孫への金銭的援助がすべて非課税になるわけではない」ということです。
 
贈与税は、1年間に110万円を超える金額を個人から受け取った場合にかかる税金です。これは親子間でも祖父母と孫の間でも同じルールで適用されます。つまり、年間110万円を超える現金を一括でお孫さんに渡した場合、お孫さんには贈与税の申告・納税が必要になる可能性があります。
 
ただし、教育資金については、一定の条件を満たすことで非課税となる特例制度があります。具体的には、「教育資金の一括贈与非課税制度」や「都度払いでの非課税」が該当します。
 

教育資金の一括贈与特例を活用すれば最大1500万円まで非課税に

お孫さんの学費援助を「まとまった金額で渡す」場合は、「教育資金の一括贈与の非課税制度」を活用するのが有効です。以下で、制度の概要と注意点について見ていきましょう。
 

■制度の概要

対象者:30歳未満の孫(または子)
贈与者:父母または祖父母などの直系尊属
非課税限度額:1人あたり最大1500万円(学校以外の習い事などは500万円まで)
必要な手続き:金融機関を通じて専用口座を開設し、国税庁への「教育資金非課税申告書」の提出が必要

 
この制度を使えば、大学の入学金や授業料、施設費などの学校へ支払う教育費については、1500万円の範囲内であれば贈与税がかかりません。
 
本記事のケースである130万円の初年度費用も当然この枠内に収まりますので、手続きをすれば全額を負担しても非課税で済むのです。
 

■注意点

・資金は専用口座からの支払いに限定され、目的外の使途には利用できません。
・贈与を受けた孫が30歳になると未使用分に対して贈与税が課税される場合があります。
・贈与者が亡くなった場合の扱いは、相続税の課税対象になる場合があります。
・この特例制度は、令和8年(2026年)3月31日までの時限措置です。 それ以降は制度が終了するか、内容が変更される可能性があります。

 

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「都度払い」であれば申告不要で贈与税の心配なし

一括で贈与する代わりに、教育費を必要なタイミングでその都度支払う方法もあります。この方法でも、条件を満たせば贈与税はかかりません。都度払いをする場合のポイントは、以下のとおりです。
 

■ポイント

・必要な都度、贈与として支払う
・授業料や入学金など、直接学校へ支払う
・領収書や明細などの証拠を残しておくことが重要

 
つまり、このケースでは、大学から届いた納付書を使って祖父母が直接支払う形であれば、贈与とは見なされず非課税になります。
 
注意点としては、孫の生活費やスマホ代など、学校以外の費用については、通常必要と認められる範囲であれば非課税ですが、一般的な生活費や趣味や娯楽など教育費以外の用途は贈与税の対象となる場合があります。また、現金で渡す場合も、用途や証拠を明確にすることが大切です。
 

実際に130万円の学費を出すには、どちらの方法がベスト?

前述した2つの方法、すなわち「教育資金の一括贈与特例を利用する方法」と「必要な都度支払う方法」のどちらを選ぶかは、ご家庭の状況や援助のスタイルによって異なります。以下で、今回のケースに当てはめて、それぞれの特徴を整理してみましょう。
 

■教育資金の一括贈与特例(金融機関管理)

長期的な学費支援を想定しているならおすすめ。
制度の枠内であれば、今回のように、一括で130万円を渡しても非課税。

 

■都度払いでの支援(直接納付)

柔軟性が高く、手続きもシンプル。
特定の年度のみ支援したい場合や、制度利用の手間を避けたい人に向いている。

 
どちらを選んでも贈与税の課税対象にはなりませんが、証拠の保管や使い道の明確化は共通して大切なポイントです。
 

愛情ある援助には、正しい知識を

お孫さんの進学を応援したいという気持ちは、何よりも尊い贈り物です。ただし、高額な援助には思わぬ税金リスクが伴う可能性があります。
 
制度を正しく理解し、適切な方法で援助を行うことで、贈与税の心配なく安心してサポートすることができます。教育資金の援助は、ただのお金ではなく、お孫さんの将来を広げる力そのものです。制度を上手に活用して、お孫さんへの思いをしっかり形にしていきましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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