親から「毎年110万円」の贈与を受けています。基礎控除の範囲内ですし、税務署に指摘されることもないですよね?
本記事では、贈与税の基礎控除額や定期贈与と見なされるリスク、暦年贈与の注意点を解説します。
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「年間110万円以下」の贈与は原則非課税
贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つに分かれます。国税庁によると、暦年課税はその年中に贈与を受けた財産の価額の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。そのため、年間110万円以下の贈与の場合は贈与税がかかりません。
また、回数に制限もないため、複数年にわたって非課税で贈与できます。例えば、3年にわたって110万円を贈与し続け、総額330万円を贈与することも理論上は可能です。
一定期間に一定額の贈与を繰り返すと「定期贈与」と見なされるおそれ
基礎控除の適用に回数制限はありませんが、一定期間に一定額の贈与を繰り返すと「定期贈与」と見なされる可能性があります。定期贈与とは、前もって贈与の期間と金額を決めて財産を定期的に贈与し続けることです。具体例として、毎年110万円を10年間にわたって贈与すると契約して計画的に生前贈与を行うケースが挙げられます。
定期贈与と見なされた場合、贈与した財産の全額(この場合では1100万円)が一括贈与とみなされて、基礎控除額110万円を差し引いた990万円が課税対象となります。
「暦年贈与」を行う際の4つの注意点
110万円の基礎控除を活用して贈与を行う場合は、以下の4点に注意しましょう。
・毎回贈与契約書を作成する
贈与をした証拠を残すために、毎回贈与契約書を作成することをおすすめします。贈与するたびに贈与契約書を作成することで、前もって贈与の期間と金額を決めて贈与していると判断されにくくなります。
・贈与の時期と金額に注意する
毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると定期贈与と見なされやすくなるため、贈与の時期と金額は毎年変えることをおすすめします。ある年は2月に100万円を、翌年は4月と10月に分けて110万円を贈与するというように時期や金額を調整しましょう。
・贈与者と受贈者の双方の同意を得る
贈与者は贈与しているつもりでも受贈者から贈与されている認識がない場合、名義預金と見なされるおそれがあります。名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を出した人が違う預金です。
名義預金は実際にお金を出した人の財産と見なされるため、相続税の対象となります。名義預金と見なされないようにするためにも、贈与者と受贈者の双方の同意を得ることが重要です。
・相続開始前7年以内の贈与には相続税がかかる
相続開始前7年以内に贈与された財産は相続財産に加算されるため、相続税がかかります。なお、以前は相続開始前3年以内でしたが、2023年度の税制改正により2024年度からは7年以内に延長されました。ただし、延長された4年間に贈与された財産は100万円まで相続財産に加算されません。
まとめ
贈与税には110万円の基礎控除があるため、年間110万円以下であれば贈与税はかかりません。しかし、一定期間に一定額の贈与を繰り返すと定期贈与と見なされ、贈与した財産の全額が課税対象となります。暦年贈与を行う場合は、毎回贈与契約書を作成したり贈与の時期・金額に注意したりすることが重要です。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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