孫のために教育資金「1800万円」を貯めています。必要になる都度渡した方が孫に税金は課されませんか?
非課税制度や非課税項目を活用するときは、条件をよく確認することが必要です。今回は、多額の教育資金を課税されずに渡せる限度額や、ほかのお金を非課税で渡せるケースなどについてご紹介します。
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目次
教育資金のためなら制度を利用すると一定金額まで非課税になる場合がある
子どもや孫に教育資金としてお金をサポートしたいとき、「教育資金一括贈与の非課税制度」を利用すると、最大1500万円まで課税されずに支援することが可能です。ただし、制度の利用に当たって以下の条件を満たしていなければなりません。
●両親や祖父母など(直系尊属)から子どもや孫(直系卑属)への贈与である
●令和8年3月31日までに利用していること
●子どもや孫にお金を送る前に、事前に専用の口座を開設している
●教育資金非課税申告書を、信託や預け入れなどをする日までに口座を開設した金融機関などに提出している
●受け取った側が教育資金としてそのお金を使用している
例えば、銀行へ申請する前に孫の口座に一括でお金を送ると、その分は非課税にはならない可能性があります。また、孫が受け取ったお金を遊びや貯金に回すと、その金額分は非課税制度の対象になりません。
さらに、制度を利用できる最大金額は1500万円です。今回のケースのように、1800万円を送ると超過分の300万円には課税されます。贈与税は1年で受け取った金額が基礎控除(110万円)を超えた分に対して課税されるため、190万円が課税金額です。
国税庁によれば、贈与税の税率は10%なので、この場合は19万円の贈与税が課されます。このように、1800万円の場合、教育資金一括贈与の非課税制度でもすべてを非課税では渡せないため、節税したい場合は残額についてはほかの方法を考慮する必要があります。
都度渡す場合は非課税になる範囲内におさえる必要がある
非課税制度ですべて渡しきれない場合、非課税になる項目を活用する方法もあります。国税庁によると、贈与には非課税とされる項目が12種類設けられており、「扶養義務者から生活や教育などのために通常必要と認められる範囲でその都度支払われたもの」「お祝いやお見舞金、年末年始の贈答などで社会通念上相当と認められる範囲のもの」などが含まれます。
扶養義務者とは、民法第877条第1項での「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められている間柄を指します。祖父母と孫の場合も直系血族に該当するので、必要な範囲の支援は非課税として認められやすいと考えられます。
例えば、大学進学に際して150万円の費用が必要になり、祖父母が支払った場合、教育費の支援に該当するので110万円を超えていても課税されない可能性があります。また、孫が一人暮らしするための家賃を支払ったり、医療費を負担したりするのも生活費の支援と判断されるでしょう。
ただし、非課税となるのは受け取ったお金を非課税になる項目で使用したときのみです。お金を渡すときにはほかの用途に使わないよう伝えておきましょう。
孫に自由に使えるお金を渡す場合は、基礎控除の金額の範囲内におさえることが必要です。また、お年玉も社会通念上相当と認められる範囲であれば非課税になるので、一部をお年玉に回すことも方法のひとつです。
「教育資金一括贈与の非課税制度」の限度額を超えるなら都度渡した方がよいケースもある
直系尊属から受ける教育資金一括贈与の非課税制度を利用すれば、最大1500万円まで課税されずに貯金を孫へ渡せます。ただし、1800万円を一度に渡したい場合は非課税になる範囲を超えているため、超えた分を通常の贈与として渡すか、ほかの非課税項目を活用して渡した方がよいでしょう。
祖父母から孫へ渡す場合は、生活費や教育費が必要になる都度渡せば原則として課税されません。また、金額を基礎控除内におさえれば自由に使えるお金として渡せます。
自由に使えるお金は基礎控除内におさえ、孫の生活費や医療費などは必要になる度に送金するとよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第七章 扶養 第八百七十七条(扶養義務者)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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