父が亡くなって遺言書が「2通」見つかりました。書かれている内容が異なるのですが、どの遺言書が優先されますか?
そこで今回は遺言書が2通ある場合の遺産相続について解説します。
ファイナンシャルプランナー
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ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
目次
遺言書が2通ある場合はどちらの内容が優先されるのか?
民法第千二十三条では、前の遺言が後の遺言と内容が矛盾する場合、矛盾する点については前の遺言は後の遺言で撤回されたものとすると定められています。つまり、遺言書が複数ある場合、新しい日付で作成された遺言書の内容が優先されるというわけです。ただし、内容に矛盾がない箇所については前の遺言書が有効となります。
遺産相続について
亡くなった方の財産を、残された家族などが引き継ぐことを相続といい、相続には大きく分けて「遺言相続」と「法定相続」の2つがあります。
遺言書がある場合は、基本的にその内容が優先されますが、遺言書がない場合には相続人間で遺産分割協議を行い相続の配分を話し合いで決めなければなりません。遺産分割協議で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停や審判を行う流れです。
法定相続について
法定相続分とは、民法で定められた相続人の範囲・順番・割合の相続分をいいます。
法定相続において配偶者は常に相続人となり、次に第1順位の子ども(すでに子どもが亡くなっている場合は孫、子どもも孫も亡くなっている場合はひ孫などの直系卑属)、第2順位の父母(父母がすでに亡くなっている場合には祖父母などの直系尊属)、第3順位の兄弟姉妹と続きます。民法における相続分は次の通りです。
●配偶者のみ:全て
●配偶者と子ども:配偶者1/2、子ども(全員で)1/2
●配偶者と父母:配偶者2/3、父母(全員で)1/3
●配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹(全員で)1/4
これは、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)がまとまらなかった場合や、話し合いの結果として法定相続分どおりに分けることになった場合に用いられる割合です。なお、協議の結果として法定相続分どおりに分けることも可能です。必ずしもこの通りにする必要はありませんが、目安として覚えておくとよいでしょう。
相続でもめないために気を付けておきたい3つのポイント
相続でもめないためには、次のようなポイントを意識してみましょう。あらかじめ確認しておくことで、不要なトラブルを避けられるかもしれません。
●生前に家族間で相続についてよく話し合う
●話し合いに基づいた遺言書を作成する
●弁護士などの専門家に相談する
大切なのは、どのような財産があるのかを把握し、生前に家族間で相続について十分に話し合い、被相続人が遺言書を作成しておくことです。また、預貯金などと違い、分けることが難しい不動産は相続人間でもめる原因になることもあります。家族間での話し合いで決めることが難しい場合は、相続に強い弁護士などの専門家に相談するのも1つの方法です。
書かれた日付の新しい遺言書の内容が優先される
相続の際に遺言書が2通見つかり双方の遺言書の内容で矛盾点がある場合、矛盾点については新しい日付で書かれた内容が優先されます。
相続では、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納付を行わなければなりません。期限までに申告できない場合には、相続税のほかに加算税や延滞税がかかる可能性があります。
しかし、実際の遺産分割協議では、話し合いがまとまらずに相続人間でもめるケースも少なくありません。相続でもめないためには、生前から家族間で相続について話し合う場を設けることが大切です。可能であれば、話し合いに基づいた遺言書を作成することで不要なトラブルを避けられるでしょう。
出典
政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】
国税庁 No.4205相続税の申告と納税 概要 申告の期限と方法
デジタル庁 e-GOV法令検索 民法
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修 : 高橋庸夫
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