孫に「1000万円」の生前贈与を検討しています。孫には負担をかけたくないのですが、「贈与税」も私が払うことはできますか?

配信日: 2025.07.20
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孫に「1000万円」の生前贈与を検討しています。孫には負担をかけたくないのですが、「贈与税」も私が払うことはできますか?
生前贈与は有効な相続税対策のひとつですが、贈与する際には金額によって贈与税が発生します。生前贈与により生じた贈与税を、贈与者が受贈者に代わりに支払うことはできるのでしょうか。
 
本記事では、贈与税を代わりに支払った場合の扱いや、贈与税の負担をかけずに孫に贈与する方法、生前贈与に使える非課税制度を解説します。
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「贈与税」を贈与者が払うとその分にも贈与税がかかる可能性

贈与税は、個人からの贈与により財産を取得した際に、受贈者(財産を受け取った人)が申告・納付が必要になる税金です。今回のケースでは、孫が受贈者のため、贈与税は孫に課されます。贈与者が贈与税を代わりに支払うと、その分も贈与したとみなされ、余計に贈与税が課される可能性があります。
 
国税庁によると、贈与税の年間基礎控除額は110万円であり、今回のケースにおいて、基礎控除後の金額が890万円、孫が18歳未満の場合の税率は一般税率が適用され40%(125万円の控除)、税額は231万円です。
 
仮に翌年、贈与税も贈与者が代わりに支払った場合、この231万円に対しても贈与したとみなされて、その年の他の贈与と合計して贈与税が課せられることになるでしょう。
 

贈与税の負担をかけずに孫に「1000万円」を贈与する3つの方法

贈与税の負担をかけずに孫に1000万円を贈与する方法として、以下の3つが挙げられます。
 

1.生活費や教育費として贈与する

国税庁によると、扶養義務者から生活費・教育費のために贈与された財産で、通常必要と認められるものは贈与税がかかりません。ただし、一度に1000万円を贈与すると通常必要と認められない恐れがあるため、必要な金額を必要なタイミングで都度贈与する必要があるでしょう。
 

2.暦年贈与する

贈与税の基礎控除を利用して、1年間の贈与額を110万円以下にすることで贈与税を非課税にする方法です。ただし、毎年一定の金額を贈与すると定期贈与とみなされる恐れがあるため、贈与する時期や金額には注意が必要です。
 

3.相続時精算課税制度を利用する

国税庁によると、相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母・祖父母などから18歳以上の子・孫などに対して財産を贈与する場合に選択できる方法です。
 
一度選択するとその贈与者(特定贈与者)から受ける財産については暦年課税を選択できなくなりますが、年間110万円の基礎控除に加えて最大2500万円の特別控除を適用できます。
 
特定贈与者が亡くなった際に、それまで贈与を受けた相続時精算課税適用財産と相続により取得した財産を合計した金額を基に相続税額を計算します。
 

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使途によっては非課税制度を利用して「生前贈与」できるケースも

直系尊属からの贈与において、その財産の使途によっては要件を満たすことで、表1のような非課税制度も利用できるケースがあります。
 
表1

制度名 非課税枠 適用期限
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度 最大1000万円 2027年3月31日
教育資金の一括贈与の非課税制度 最大1500万円 2026年3月31日
住宅取得等資金の贈与の非課税制度 最大1000万円 2026年12月31日

※筆者作成(2025年7月現在)
 
それぞれ適用する際の要件が細かく定められているため、利用する前にしっかりと確認が必要です。
 

まとめ

贈与税は受贈者に課税される税金です。発生した贈与税を代わりに贈与者が支払った場合、その分も贈与したとみなされるため、さらに贈与税がかかってしまう可能性があるでしょう。
 
また、生活費・教育費として必要な金額を必要なタイミングで都度贈与する、暦年贈与する、相続時精算課税制度を利用するのも効果的です。さらに、結婚・子育て資金や教育資金など、贈与する財産の使途によっては非課税制度を利用して生前贈与もできます。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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