亡くなった父に300万円の借金が…「長女が払うものでは?」と兄弟に言われているけど、相続放棄したはずなのに払わないといけないケースがあるの?

配信日: 2025.07.23
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亡くなった父に300万円の借金が…「長女が払うものでは?」と兄弟に言われているけど、相続放棄したはずなのに払わないといけないケースがあるの?
親の借金が発覚すると、「親の借金を背負わされるのでは?」と不安になる人は少なくないでしょう。特に相続発生時には、相続を放棄しても下の兄弟から、「長男・長女なのだから借金を払うべき」と言われるケースもあるようです。しかし、本当に相続放棄をしても、支払い義務が生じることはあるのでしょうか?
 
相続放棄の効力と例外、家族間で誤解が生じやすいポイントを解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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相続放棄をすれば原則「借金返済義務はなし」

民法では、相続において、相続人は被相続人(亡くなった人)の借金や負債も「財産」として引き継ぐことになります。これを回避する方法が「相続放棄」です。
 
家庭裁判所に相続開始(通常は死亡時)を知ってから3ヶ月以内に申し立てをし、認められれば相続放棄が成立します。相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになるため、親の借金を含む一切の財産や義務を引き継がないのが原則です。
 
したがって、自身が正しく相続放棄を済ませた後であれば、仮に父親の借金が300万円あろうが1億円あろうが、法的には1円たりとも支払い義務はありません。兄弟から「長女だから払うべき」と言われたとしても、それは感情論に過ぎず、法律上は一切支払い責任は生じないのです。
 

相続放棄でも「単純承認」にあたる行為には要注意

ただし、相続放棄後でも「単純承認」と見なされる行為をしてしまうと、相続放棄が無効になることがあります。
 
単純承認とは、簡単にいうと、被相続人の遺産を処分・使用するなどして「相続財産について一切合切受け入れた」と解釈される行為のことです。
 
例えば、次のような行為が単純承認にしたと見なされる行為です。

●相続財産を一部であっても勝手に売却した
●負債の一部を返済した
●遺産となる銀行口座からお金を引き出して使った

相続放棄後に単純承認に該当する行為をすると、相続放棄の意思に反して「相続した」と判断され、放棄が無効となる可能性があります。結果として、借金を含むすべての遺産を引き継ぐ立場に戻ってしまい、支払い義務を負うことになるため、注意が必要です。
 
なお、相続放棄前でもあっても、単純承認したと見なされてしまうと、相続放棄ができないことになるので、こちらもご注意ください。
 

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放棄者が支払う義務があるのは「連帯保証人」だった場合

もう一つ見落としやすい落とし穴が「連帯保証人」です。相続放棄はあくまで「被相続人の財産や負債を相続しない」手続きであり、放棄した人自身が父親の生前に借金の連帯保証人になっていた場合、放棄の有無にかかわらず、保証人としての債務を履行する必要があります。
 
例えば、「父が事業資金を借りる際に長女が連帯保証をしていた」というケースでは、相続放棄しても、連帯保証人としての立場は消えず、長女自身の債務として300万円の返済義務はそのまま残ります。
 
相続放棄は、あくまでも相続によって発生する借金を避ける効果はありますが、連帯保証人としての責任を免れることはできません。
 

まとめ

相続放棄を正しく行うことで、原則として相続財産に含まれる借金を支払う義務はなくなります。ただし、相続財産を勝手に処分するなど一定の行為によっては単純承認と見なされ、相続放棄が無効になりかねないこと、また、自身が連帯保証人になっていた場合は、支払い義務が残る点には注意が必要です。
 
兄弟間や債権者との間での要らぬ誤解やトラブルを避けるためにも、相続放棄を予定するのであれば、仮に相続放棄前であっても財産に触れないことを徹底し、不安があれば弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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