都内に実家があるだけで「相続税」4000万円超?“富裕層じゃないのに課税対象”になる家族のリアル

配信日: 2025.07.23
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都内に実家があるだけで「相続税」4000万円超?“富裕層じゃないのに課税対象”になる家族のリアル
「相続税はお金持ちだけの問題」と思っていませんか?
 
例えば今回のタイトルにもあるように、都内に実家があるだけで特別にぜいたくをしていない一般家庭でも、相続税の課税対象になるケースが増えています。
 
特に東京都内の不動産高騰を背景に、親が残した実家が予想外の「高額資産」と評価され、相続税負担が驚くほど高額になる場合もあるでしょう。富裕層でなくても直面する「相続税4000万円超え」がいかにして起こるのか解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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都内の「普通の家」が数千万円? 高騰する地価が引き起こす落とし穴

都内では特別な豪邸ではなくても、立地によっては築数十年の古い戸建ての「評価額」が数千万円になることがあります。
 
例えば、23区内の人気エリアでは、60坪程度の土地でも、相続税を算出するにあたり基準となる価格、いわゆる路線価が1平方メートル当たり100万円以上となり、相続税額が軽く4000万円を超えるケースもあるようです。
 
また、建物価値は築年数で減価しても、土地の価値は高止まりや上昇を続けるため、実家を相続しただけで、課税対象となる金額が、相続税における基礎控除(3000万円+法定相続人1人につき600万円)を大きく超えてしまう事態に陥ります。
 
実際東京圏の地価は、国土交通省の統計を見る限り、少なくとも昭和50年(住宅地平均価格:1平方メートル当たり7万2600円)以降、一時落ち込むことはあれ、基本的に右肩上がりで上がり続けてきています(令和7年現在、同28万5900円)。
 
そのため、都内にある一見「普通の家」でも、それが土地を含め数千万、場合によっては億の値が付くことも決して珍しくはないのです。
 

小規模宅地等の特例で半減しても……。「評価額が高すぎて課税」の現実

自宅を相続する場合、多くの人が利用するのが「小規模宅地等の課税価格の計算の特例」でしょう。これは、相続した自宅の土地評価額を最大80%減額できる制度で、一定条件を満たせば、相続税負担を大幅に軽減できます。
 
多くの人がこの制度を理由に「いくらなんでも相続税が4000万円を超えるなんて……。」と思うことでしょう。
 
しかし、元の土地評価額が2億円なら、特例を適用しても評価額は4000万円です。仮に兄弟2人で相続すると、基礎控除は4200万円(3000万円+600万円×2人分)ですが、現金や株式、生命保険金など他の遺産が少しでもあれば、課税価格が基礎控除を超えやすくなります。
 
相続税率は、課税対象の価格が3000万円超からは20%以上となるため、最終的に「都内に実家があるだけで4000万円以上の相続税負担」という、想像以上に厳しい現実が十分に起こりえるのです。
 

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富裕層でなくても「相続税貧乏」に……。納税資金準備が家族トラブルを招く

都内の実家を相続する子世代が直面する最大の問題は「納税資金の確保」です。相続税の申告・納税期限は「相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内」。納税までに実家を売却して現金化できればいいですが、共有名義で相続した兄弟間の意見が割れたり、売却を嫌がる親族がいたりすると、話は簡単にまとまらないでしょう。
 
また、評価額と実売価格は、現況や今後の地域の発展性など見えない部分も加味されることから、評価額が高いのに実売価格は安い、などという状況も起こりえるのです。
 
とすると、相続税は支払えたが、手元には価値のない資産しか残らなかった、ということもあるのです。
 
場合によっては、相続税を払えず、結果的に相続放棄をせざるを得ないこともあるのでしょう。しかし、相続税を理由に実家を手放さざるを得ない状況は、精神的負担や兄弟間の感情的対立を招くことも珍しくありません。こうして、普通の家を残しただけのはずの相続が、家族不和や資産減少をもたらすことにもなりかねません。
 

まとめ

都内に実家がある方においては、「相続税は一部の富裕層だけの話」と考えていると、思わぬ負担を背負う可能性があります。特に近年の地価高騰は著しく、特例を使っても、一般家庭なのに相続税4000万円超、なんてことになることもあり得るレベルです。
 
都内に実家がある場合、相続対策について早めに税理士などの専門家に相談し、納税資金の準備や処分の可否などについて、家族での話し合いを進めておくことが、家族の財産と絆を守る重要なカギとなるでしょう。
 

出典

国土交通省 地価・不動産鑑定 変動率及び平均価格の時系列推移表(令和7年地価公示)
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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