「結婚20年」を超えた夫婦間で住宅を贈与すると「最大2110万円」まで非課税になる「おしどり贈与」。一体、どんな制度?

配信日: 2025.07.27
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「結婚20年」を超えた夫婦間で住宅を贈与すると「最大2110万円」まで非課税になる「おしどり贈与」。一体、どんな制度?
婚姻期間が20年を超える夫婦間で住宅や住宅を取得するための資金の贈与があった場合、「おしどり贈与」を使える可能性があります。おしどり贈与を利用すると、贈与税や相続税の負担を軽減できるでしょう。
 
ただし、利用するには条件や必要書類もあるので、よく確認しておきましょう。今回は、おしどり贈与の概要や節税金額例などを紹介します。
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おしどり贈与とは

おしどり贈与とは正式名称を「贈与税の配偶者控除の特例」と呼ばれる贈与税の控除です。
 
通常、贈与税には110万円の基礎控除が設けられており、贈与が110万円を超えると税金がかかります。しかし、おしどり贈与が適用されると、条件を満たしている夫婦間での住宅の贈与に2000万円の配偶者控除が適用されます。
 
おしどり贈与は以下の条件を満たしていると利用が可能です。
 

・20年を超える婚姻期間がある
・過去におしどり贈与を利用したことがない(再婚などによる同じ配偶者でなければ利用可能)
・贈与された翌年3月15日までに実際に住んでいる住宅である
・贈与された財産が住宅、もしくは住宅を取得するための資金としている

 
また、おしどり贈与を適用する際は、通常の贈与税の申告書のほかに以下の書類の添付も必要です。
 

・財産を受け取った日から10日以上経過してから作成された戸籍謄本か戸籍抄本
・財産を受け取った日から10日以上経過してから作成された戸籍の附票(ふひょう)の写し
・登記事項証明書など財産を受け取った人がその住宅を取得したことを証明できる書類
・住宅そのものを受け取った場合は評価明細書など

 
書類の種類によっては時間がかかるケースもあるので、申請するときは早めに書類の準備をしておきましょう。ただし、戸籍謄本や戸籍の附票などは財産を受け取った日から10日以上経過している必要があります。事前に用意していても使えない可能性があるので、注意しましょう。
 

おしどり贈与を使うといくら節税できる?

おしどり贈与を利用しなかった場合の税額を比較して、おしどり贈与による節税効果を試算しましょう。条件は以下の通りとします。
 

・2000万円の住宅を夫から妻へプレゼントする
・同じ年にほかの贈与はない

 
贈与税の基礎控除を差し引いた1890万円が課税対象になります。このとき、税率は50%、控除額は250万円のため、贈与税額は695万円です。
 
しかし、おしどり贈与が適用されると、配偶者控除が2000万円のため贈与税はかかりません。つまり、今回のケースだと695万円の節税効果が期待できるでしょう。
 

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おしどり贈与を利用するメリット

まず、おしどり贈与のメリットは相続税対策になる可能性があることです。特に、夫婦間で所有する財産の額に差があるときに、本控除を活用することで相続税の負担を軽減できるでしょう。
 
夫が住宅を所有しており、資産も多い場合、もし夫が先に亡くなると妻をはじめとする相続人に相続税の負担が生じます。しかし、住宅が2000万円程度の場合、事前におしどり贈与により妻に渡しておけば、住宅の金額分は贈与税も発生せず、相続財産にも加算されません。
 
そのため、子どもの相続対策にもなる可能性があります。
 
相続税は「3000万円+法定相続人数×600万円」の基礎控除を超えた分に対して課税され、遺産を受け取った人数で税金負担を分けます。例えば、2000万円の住宅も含めた夫の資産が5000万円だったとしましょう。
 
妻と子ども1人のみが法定相続人数の場合、おしどり贈与を使わなければ夫の全財産を妻と子どもが相続することになります。妻は配偶者控除も適用されるため相続税の負担はありません。一方で、基礎控除のみ適用される子どもは、相続税の支払いが必要です。
 
しかし、おしどり贈与で2000万円分の家を事前に妻に渡しておくと、相続財産は3000万円となり基礎控除額の範囲内になります。子どもにも相続税はかからなくなるでしょう。
 

住宅もしくは住宅の取得費用にかかる贈与の控除額を増やせる制度

おしどり贈与は、20年を超える婚姻期間がある夫婦間において、住宅や住宅を取得するための資金の贈与が行われたときに、基礎控除のほかに最大2000万円までの配偶者控除が追加される制度です。
 
おしどり贈与は、妻や夫に贈与税の負担をかけない、あるいは軽くして住宅を遺せるメリットがあります。将来のために住宅を残したいと考えている人は、利用を検討するとよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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