私の口座で預金した「150万円」を子ども名義の口座に移しました。子ども名義の口座にお金を入れると”贈与税がかかる”と聞きましたが本当にかかるのでしょうか?

配信日: 2025.07.30
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私の口座で預金した「150万円」を子ども名義の口座に移しました。子ども名義の口座にお金を入れると”贈与税がかかる”と聞きましたが本当にかかるのでしょうか?
贈与税は、生存する個人(私=親)から財産をもらう契約をし、財産を取得した人(子ども)に課税されます。これは、たとえ親子間であっても例外ではなく、原則、150万円を取得した子どもに贈与税が課税されることになります。
 
本記事では、贈与税がかかる場合とかからない場合の事例や、親から子どもへの財産移転の際の注意点などについて確認します。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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子ども名義の口座について

原則、生まれてすぐの子ども名義でも銀行口座を開設することは可能です。
 
未成年者の場合には、口座開設の手続きを法定代理人(主に親権者)が行うため、子どもと親権者の本人確認書類(マイナンバーカードや健康保険証など)、名義人との関係が確認できる書類(住民票の写しや戸籍謄本など)が必要となります。
 
口座の使用目的は人それぞれですが、これまでにもらったお小遣いやお年玉などは、子ども自身の金銭管理や将来かかる教育資金としての貯蓄など自由な目的で使用することができます。
 
ただし、子どもが未成年(18歳未満)の間は、親などの法定代理人が口座を管理し、自由に入出金することができますが、18歳以降になると、たとえ親といえども勝手に入出金することができなくなります。
 

贈与税が課税されないケース

冒頭に記載の通り、原則、生存する個人から財産を取得した人に対しては贈与税が課税されます。本章では、贈与税が課税されない主なケースを確認してみます。
 

1. 贈与された額が年間で110万円以下である場合

贈与税は、暦年(1月1日から12月31日)に贈与された財産の合計額を基に計算されます。そして、贈与税には110万円の基礎控除があるため、暦年の合計額が110万円以下であれば、贈与税は課税されません。
 

2. 親子(夫婦や兄弟姉妹)などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

取得した150万円が子ども自身の生活費(日常生活に必要な費用)や教育費(学費、教材費、文具費など)として、必要な都度これに充てるために取得し、通常必要と認められる場合には贈与税は課税されません。ただし、株式や不動産の購入資金としたり、利息を得るための貯蓄目的に使用したりする場合には、贈与税の課税対象となります。
 

3. 相続時精算課税を選択した場合

父母や祖父母(60歳以上)から、18歳以上の子(または孫)に対して財産を贈与する際に贈与者ごとに選択できる贈与税の課税方法です。
 
相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からの財産について、累計で2500万円までは贈与税が課税されません。ただし、贈与者が亡くなり、受贈者(子ども)が相続人となったときの相続財産に贈与分が加算され相続税が計算されます。
 

4. 直系尊属から贈与を受けた場合の非課税制度や非課税措置を適用した場合

直系尊属から一定の条件で贈与を受けた場合に、贈与税の非課税制度や非課税措置が設けられています。適用される財産の目的には、「住宅取得資金」「教育資金の一括贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与」があり、受贈者の年齢要件や非課税となる範囲・限度額などが定められているため、詳細は国税庁のホームページ等でご確認ください。
 

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その他の注意すべき事項

子どもに生前贈与する際の注意点として、ほかにも覚えておいてほしい事項があります。以下の3点について、確認していきましょう。
 

(1)「定期贈与」とみなされる場合がある。

親子間での贈与であっても、後々贈与税の課税を避けるため、贈与の際には贈与契約書などの書面を残すことが推奨されます。例えば、贈与契約書に「毎年、5年間100万円ずつ贈与する」と記載されていると、暦年ごとの贈与額は110万円以下であっても、5年間で合計500万円が定期贈与とみなされ、贈与税が課税されることがあります。
 

(2)「名義預金」とみなされる場合がある。

名義預金とは、実際の預金者とは異なる名義の口座に預けられたお金のことを指します。 例えば、親や祖父母が子ども名義の口座で預金したりするケースが考えられます。
 
この場合に、口座の実質的な管理を名義人である子どもではなく、親などが行っていると名義預金とみなされる場合があります。この場合には、名義預金の残高は、親などが亡くなった際の被相続人の相続財産として加算され、相続人には相続税が課税されることになります。
 

(3)「休眠預金」扱いとされる場合がある。

銀行口座は、最後に取引を行ってから10年以上取引がない場合には、「休眠預金」扱いとなり、預金保険機構に移管され、民間公益活動のために活用されます。休眠預金となったあとも引き出しは可能ですが、再度本人確認を行うなど通常の出金手続きに比べると時間や手間がかかってしまいます。
 

まとめ

祖父母や親世代の財産を次世代(子や孫)に移転し、できるかぎり贈与税や相続税などの税金負担を軽減することは極めて重要な資金対策の一つです。
 
基本的には、贈与税の基礎控除(110万円)を基準として計画的に財産の移転を進めることや、預貯金などの金銭ではなく不動産や生命保険契約などを活用し、財産の評価額を下げる対策を生前に講じることなどがポイントとなるでしょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に。
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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