「相続税」っていくらからかかるのでしょうか? 両親が高齢になったため少しずつ準備しようと思いますが、都内に「戸建て」があるので心配です。
本記事では、相続税の基本と相続へ向けてどのような準備が必要かにつき解説します。
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
相続税の基本
まずは、相続税の準備を開始するにあたって、相続税の基本について解説します。
1. 相続性の対象となる財産
(1)亡くなった方が所有していた財産
現金や預貯金、土地、建物、株式などの有価証券などの財産に加えて、金銭に見積もることができるすべての財産が対象となります。また、日本国内だけでなく、海外の財産も対象となります。
したがって、今回のケースのようにご両親が都内に「戸建て」がある場合には、その「戸建て」も相続税の対象となります。
(2)みなし相続財産
亡くなった方の生命保険や退職金なども、相続税の対象となります。
ただし、以下の算式にあるように、一定の金額が非課税となります。したがって、亡くなった方が加入している保険や退職金などがあれば、相続税の対象となるので、準備の段階で把握する必要があります。
500万円×法定相続人の数×(その相続人が取得した保険金等の合計額÷相続人全員の取得した保険金の合計額)
(3)亡くなった方から生前贈与を受けていた財産
亡くなった方から生前に贈与を受けていた場合に、相続税の対象となる場合があります。具体的には、贈与税の申告において相続時精算課税を適用した財産および亡くなった方から亡くなる3年前以内に贈与を受けた財産が対象となります。
(4)相続税の対象となる財産から控除できる財産
葬式にかかった費用や亡くなった方の借入金・未払金、未納の税金は、相続税の対象となる財産から控除できます。
2. 相続税の申告が必要になる人
上記1項の財産(控除できる財産を含む)の合計額から、以下の計算式で求められる「遺産の係る基礎控除額」を超えた場合には、相続税の申告が必要です。
「遺産に係る基礎控除」=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
なお、今回のケースでご両親のどちらかが亡くなった場合、法定相続人は亡くなった方の配偶者とその子どもとなります。
相続税の準備事項
ここまで、相続税の基本について確認してきました。次に、相続税の申告のために必要な準備事項を解説します。
1. 相続人の確認
亡くなった方の財産を相続する人を特定するためには、亡くなった方と相続を受ける方の本籍地から戸謄本を取り寄せる必要があります。
2. 遺言書
親が亡くなったときは、遺言書の有無を確認する必要があります。事前に遺言者の有無について確認しておけば、亡くなってから慌てることはないでしょう。
3. 相続財産の確認と評価
前項で解説した財産(含む、借入金などの債務)を調べておいて、目録や一覧表にしておく。そして、その財産の評価をしておくとよいです。
特に、都内の「戸建て」の不動産の評価額が高くなる傾向があるため、相続税の課税対象になる可能性がありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
4. 遺産の分割
遺言書があれば、その内容に従って遺産の分割をすることになります。遺言者がない場合には、相続人全員で遺産の分割をあらかじめ協議しておくことも必要でしょう。
まとめ
ご両親が高齢とのことですので、具体的な財産状況を把握したうえで、必要な準備を進めるといよいでしょう。特に、都内の「戸建て」の不動産の評価額が高くなる傾向で、相続税の課税対象になる可能性がありますので、事前に確認することをお勧めします。
なお、実際の相続にあたっては、相続に関する専門家(税理士など)に相談するとよいでしょう。
出典
国税庁 相続税のあらまし
国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備
執筆者 : 堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー