70代母へ「月15万円」程度を「仕送り」しています。これって「贈与税」の対象になりますか?

配信日: 2025.08.04
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70代母へ「月15万円」程度を「仕送り」しています。これって「贈与税」の対象になりますか?
みなさんの中には、親の生活を支えるための仕送りについて「贈与税がかかるのでは? 」と不安に感じている方もいるかもしれません。
 
本記事では、親への仕送りが非課税となる条件や、仕送りに贈与税がかかる可能性があるケースについて解説します。
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生活費としての仕送りであれば基本的に贈与税はかからない

結論からいうと、生活費として使われる仕送りについては、通常必要と認められる範囲であれば、贈与税はかからないと判断されます。
 
これらの仕送りは、国税庁が「贈与税がかからない財産」として定める「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」に当てはまるためです。ただし「必要な都度直接これらに充てるためのもの」に限ります。
 

生活費と認められず贈与税がかかる可能性があるケース

以下のようなケースでは、仕送りであっても贈与税が課税されるため注意が必要です。

●生活費として通常必要と認められる範囲を超える場合
●ぜいたく品の購入や海外旅行費、高級レストランでの食事に使う場合
●数年分の生活費をまとめて渡す場合
●多額のお金を海外へ送金する場合

仕送りが生活費の援助であっても、金額が高額であったり支出が生活水準を超えていたりすると、生活費と認められない場合があります。
 
そのため、支援を受けた側は、明細や領収書などを保管し、生活費として使ったことが証明できるようにしておくとよいでしょう。また海外への送金の場合、家族関係の証明書類などが必要になることもあります。
 
仕送りは一括での送金は避け、前月に1ヶ月分を送るなど、定期的に必要な額を送金すると安心です。
 

贈与が年間110万円を超えると贈与税がかかる

贈与とは、相手に無償で財産を与え、相手側もそれを受諾することであり、用途の制限はありません。贈与には原則、贈与税が課税されますが、基礎控除額の110万円以内であれば基本的に課税の対象外です。
 

仕送りが15万円程度のケースにおける贈与税のシミュレーション

ここからは、15万円程度の仕送りにおける、贈与税のシミュレーションを確認してみましょう。今回は、親が一人暮らしをしているケースを想定しています。
 

高齢者一人暮らしの生活費の目安

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身世帯における食費や交通費、水道光熱費などの消費支出の平均額は、1ヶ月あたり14万5430円でした。
 
さらに、税金や社会保険料などの非消費支出の平均額は、1ヶ月あたり1万2243円であるため、毎月の平均支出は合計で15万7673円となります。
 

受け取れる年金額の目安

厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、1ヶ月あたりの平均年金受給額は、国民年金のみ加入していた人の場合で5万7584円です。このなかには、自営業者・フリーランスのほか、専業主婦など被扶養配偶者だった人(第3号被保険者)も含まれています。
 
また、会社員などの厚生年金に加入していた人の平均年金受給額は14万6429円です。年金の受給額については、加入していた年金制度の種類や加入期間などにより異なる点に注意しましょう。
 
母親が国民年金のみに加入していた場合、受け取れる年金額は5万7584円であるため、毎月不足する生活費は約10万円です。
 

仕送りと贈与税の試算例

子どもから毎月15万円送金してもらった場合、約5万円が残り、残りをすべて貯金すると年間60万円程度となります。このお金は余剰資金になるため生活費には該当しない可能性がありますが、いずれにしても贈与税の年間の基礎控除額である110万円の範囲内の金額です。
 
したがって今回の前提条件に基づくと、ほかに贈与と判断される仕送りがなければ、課税されない可能性が高いでしょう。
 
なお、15万円の仕送りすべてが贈与と判断された場合は、基礎控除額110万円を超えた「15万円×12ヶ月-110万円=70万円」に課税されます。税額調整のために設けられている控除額はこのケースでは0円で、70万円に対する贈与税率は10%であるため、「70万円×10%-0円」で贈与税額は7万円です。
 

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生活費として認められない仕送りが年間110万円以上ある場合は、贈与税の対象になる可能性がある

仕送りが贈与税の対象となるかどうかは、生活費や教育費などの「通常必要と認められる支出」に充てられているかどうかが重要な判断基準となります。例え生活費としての仕送りであっても、その一部が生活費以外に使われ、年間の非課税枠である110万円を超える場合には、課税対象となります。
 
税務上のリスクを下げるためには、仕送りの記録を残す、目的外の出費を避けるといった点を意識することが大切です。制度を正しく理解することで、安心して親への支援を続けていけるでしょう。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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