祖母が私に「500万円」の「生前贈与」を検討しているそうです。「贈与税」がかかるのではないかと思うのですが、負担をおさえる方法はありますか?

配信日: 2025.08.07
この記事は約 4 分で読めます。
祖母が私に「500万円」の「生前贈与」を検討しているそうです。「贈与税」がかかるのではないかと思うのですが、負担をおさえる方法はありますか?
祖母から孫へ「自分が亡くなる前に」と500万円という多額の財産を渡すケースもあるでしょう。自分が亡くなる前に財産を渡す「生前贈与」は相続税の節税効果が期待できる方法の1つです。
 
しかし、生前贈与の場合いくらまでなら非課税かなどを知っておかなければ、受け取った側が税金を支払うことになる可能性もあるので注意が必要です。
 
今回は、生前贈与の概要や種類、生前贈与をすることのメリットなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

生前贈与とは

生前贈与は、名前の通り自身が亡くなる前に財産を他者へ贈与することです。通常の贈与を行う場合は「暦年贈与」と呼ばれ、1年間で基礎控除(110万円)を超えると、その金額分に対して贈与税が課されます。
 
例えば、500万円を祖母から成人している孫へ渡したとしましょう。この場合は基礎控除を除いた390万円が課税対象です。税率は15%、控除額は10万円のため、48万5000円の税金が課されます。
 
贈与税は受け取った側に対して課される税金なので、今回のケースだと孫が支払います。
 
もし暦年贈与を利用する場合は、年間の贈与額を110万円以下にしておけば、非課税のまま受け取れます。ただし、暦年贈与として受け取っていても、贈与されてから一定年の年数以内に祖母が亡くなると、相続財産として加算される可能性があるので注意が必要です。何年分の贈与が加算されるかは、相続が開始したタイミングによって異なります。
 
国税庁によると、相続開始日と加算される暦年贈与期間の違いは表1の通りです。
 
表1

相続開始日 加算される暦年贈与の期間
令和8年12月31日まで 相続開始前3年以内
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から亡くなった日までの間
令和13年1月1日以降 相続開始前7年以内

※国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」を基に筆者作成
 

相続時精算課税制度を使う方法もある

相続税を節約する目的で、「相続時精算課税」を利用する方法もあります。相続時精算課税とは、60歳以上の両親や祖父母から18歳以上の子どもや孫に対して贈与するときに選択できる制度で、以下ような特徴があります。
 

・贈与者ごとに選択できる
・一度相続時精算課税を精算すると、その人の贈与分は暦年贈与に戻せない
・基礎控除に特別控除2500万円が加わる
・使い切れなかった特別控除分は、翌年以降に持ち越される
・特別控除を使い切ったあとの控除できない分には、一律で20%の税率で贈与税が課される
・相続時精算課税制度で受け取った分の贈与は、贈与者が亡くなったときに相続財産として加算される
・本制度により支払った贈与税額分は相続税額から控除できる

 
例えば、自身が成人していて本制度を利用し、500万円を祖母から受け取った場合、特別控除の金額内なので税金は課されません。その後、祖母が亡くなった際に500万円は相続財産に加算されます。
 
相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人数」なので、法定相続人がもし1人だった場合、ほかの相続財産と合計して3600万円を超えなければ、相続税もかからないといえます。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

生前贈与のメリット

生前贈与のメリットとしては、まず相続税の節税効果が期待できます。相続財産の金額が基礎控除を超えると相続税が課されますが、事前に贈与しておくことで相続財産を減らせるためです。
 
また、お金を渡したいタイミングで渡したい相手に送金できることもメリットに挙げられます。例えば子どもがいる場合、孫は法定相続人にならないため、正式に財産を残すためには遺言が必要です。遺言は基本的に優先されますが、状況によっては法定相続人との間でトラブルにつながる可能性もあります。
 
しかし、生前贈与をしておけば法定相続人であるか否かに関係なく財産を渡すことができます。これによって相続時のトラブルも防ぎやすくなるでしょう。
 

基礎控除内におさえたり相続時精算課税制度を利用したりすれば課税されない可能性もある

500万円を非課税で受け取りたい場合は、暦年贈与によって贈与額を年間110万円以内におさえることで贈与税は課されません。ただし、祖母が亡くなったタイミングによっては一部が相続財産に加算される可能性があります。
 
また、相続時精算課税制度を利用すると、500万円を受け取った際の贈与税は課税されません。祖母が亡くなると相続財産に加算されますが、基礎控除額内であれば相続税も非課税になります。
 
生前贈与の場合は課税される金額や制度を活用することで、相続税の節税が期待できるので、仕組みを理解したうえで上手に活用しましょう。
 

出典

国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問