もうすぐ83歳になる父に「生前葬がしたい」と言われました。周囲に誰も実行した人がいないのですが、「家族葬」と比較しても「割安になる」というのは本当ですか?
近年、自分らしい人生の締めくくり方として関心を集める生前葬ですが、まだなじみが薄いのも事実です。
この記事では、生前葬にかかる具体的な費用を一般的な葬儀と比較しながら解説するとともに、お金以外の面で後悔しないために知っておきたい大切なポイントをご紹介します。
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目次
そもそも生前葬とは?関心が高まる背景と新しいお別れの形
生前葬とは、本人が元気なうちに、お世話になった方々を招いて感謝を伝えるために開く会のことです。
株式会社NEXERと株式会社メモリードが2025年2月に実施した「生前葬に関するアンケート」では、生前葬のイメージについて36%の人が「よく分からない」と回答しており、まだ認知度が高いとは言いにくい状況ではあります。
一方で、実際に生前葬を希望する理由としては、「死後の負担を減らしたい」が最も多く34.9%、次いで「自分の意思で感謝を伝えたい」25.6%、「自分らしい形でお別れをしたい」18.6%といった意見が寄せられました。
こうした結果からも、生前葬が単なるイベントではなく、「前向きなお別れの場」としてとらえられていることが分かります。
また、生前葬には厳格な形式はなく、ホテルでのパーティー形式やレストランでの食事会、趣味の作品展示を交えた会など、自由なスタイルで企画できるのが大きな特徴です。自分らしい形で人生の節目を迎えたいという思いが、関心を高めている要因の一つと言えるでしょう。
気になる費用を比較!生前葬は一般的な葬儀より本当に「割安」か?
気になる費用について見ていきましょう。結論から言うと、生前葬は一般的な葬儀に比べて費用を抑えられるケースが多いようです。
生前葬の費用は、親しい人だけを招く小規模な食事会形式であれば20万円から40万円程度が目安です。一方、ホテルなどで盛大に行う場合は100万円を超えるケースもあります。
費用は、会場使用料、飲食代、装花、音響、記念品、司会進行などの有無によって大きく変動します。また、どこまで演出を行うか、何人を招くかといった規模によっても総額は大きく左右されます。具体的な見積もりを取る際は、含まれるサービス内容をしっかり確認しておくと安心でしょう。
では、こうした生前葬の費用感は、一般的な葬儀と比べてどうなのでしょうか。
近年主流となっている家族葬でも100万円前後、参列者を広く招く一般葬では150万円前後の費用がかかるとされています。これらの金額と比較すると、小規模から中規模の生前葬は、「割安」となるケースが多いようです。
なお、生前葬を行ったとしても、亡くなった後には法律に基づいて火葬を行う必要があります。さらに、火葬に加えて納骨などの手続きも必要となるため、それに伴う費用が別途発生します。
火葬や納骨の費用は、地域や宗旨宗派、選ぶ施設によって大きく異なりますが、一般的には20万円〜30万円程度が一つの目安とされています。ただし、条件によってはそれ以上の費用がかかることもあるため、生前葬の費用だけで完結するわけではない点には注意が必要です。
後悔しない生前葬にするために家族が知っておくべきこと
生前葬は費用を抑えられる可能性がある一方で、「お金がかからないからやる」という理由だけでは、後悔につながることもあります。
大切なのは、本人の思いや価値観を尊重し、家族がその意図を正しく理解・共有していることです。
特に、生前葬はまだ一般的ではないため、親族のなかには違和感を覚える人もいるかもしれません。「なぜ生前葬をしたいのか」「どんな場にしたいのか」について、本人と家族がしっかり話し合い、必要に応じて親族にも説明することが、後のトラブルを防ぐポイントになるでしょう。
生前葬が割安かは事実、でも一番大切なのは本人の思いを家族で共有すること
生前葬は一般的な葬儀より費用を抑えられる可能性が高いのは事実です。特に小規模で行えば、準備や当日の負担も少なく、参加者にとっても落ち着いた雰囲気で過ごせるというメリットがあります。
しかし、費用面のメリットだけに目を向けるのではなく、本人がどのような気持ちで生前葬を望んでいるのか、家族がその思いをしっかりと理解し、共有することが何よりも大切だと言えるでしょう。
出典
株式会社NEXER 「生前葬に関するアンケート」調査概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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