母が急きょ入院と手術をすることになり治療費「150万円」を一時的に私が「立て替え」ました。これも「贈与」になるのでしょうか?
そこで今回は、お金を親に貸した場合に贈与になるのかや、治療費と贈与税の関係などについてご紹介します。
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お金を親に貸すと贈与になる?
通常、一定金額のお金を双方が合意のうえで渡すと贈与税の課税対象です。しかし、親子間や祖父母と孫といった関係性のなかで金銭を貸す場合は、課税されないこともあります。
国税庁によると、親子間や祖父母と孫といった特殊な関係におけるお金の貸し借りは、借りた人の返済能力や返済状況などから考えて貸借であると判断されれば、贈与にはならないと示されているためです。
もし母親の代わりに150万円を支払った際に、母親が後から返済することが分かっていたり母親に返済能力があったりすれば、課税されないでしょう。また、相続税法第8条によると、返済できない場合でも以下のような状況であれば贈与にはならないと定められています。
●お金を借りた人が経済能力を喪失しており返済が難しいときに、借りたお金の一部や全額を免除してもらった
●お金を借りた人が経済能力を喪失しており返済が難しいときに、お金を借りた人の扶養義務者が借りたお金の一部もしくは全額を代わりに引き受ける、もしくは返済した
例えば、母親に150万円を貸した後、母親がさまざまな事情で返済が難しくなったときも、贈与ではないと判断されて課税されない可能性があります。
治療費であれば贈与税の非課税項目が適用される可能性も
母親のために支払ったお金が治療費目的の場合も、贈与税は課税されない可能性があります。国税庁によると、非課税項目の1つに「夫婦や親子などの扶養義務者から渡された、必要な金額の生活費や教育費」があるためです。生活費には治療費も含まれるため、子どもが親のために支払った治療費も贈与税は課税されないでしょう。
ただし、非課税となるのは必要な金額を必要になるたび支払ったときです。例えば、本来は10万円で足りる治療費に対し、何かあったときのためと150万円を渡すと、治療費以外の140万円は通常の贈与として扱われる可能性があります。治療費を代わりに支払うときは、必要な金額のみにとどめるようにしましょう。
お金を親に貸すときの注意点
治療費や生活費以外で親にお金を貸す際、返済期間を定めず、あるとき払いの催促なしでよいとすると、贈与税の課税対象になる可能性があります。実質的な贈与と判断されることがあるためです。
もし150万円が贈与税の課税対象になると、基礎控除(110万円)を差し引いた40万円に対して課税されます。税率は10%なので、支払う贈与税額は4万円です。
贈与と判断されないためには、証拠として、借用書などを残しておくとよいでしょう。また、お金を支払う際に、母親にはあくまでも一時的な立て替えであることを伝えて、お互いに贈与ではなく貸し借りである認識を持つことも大切です。
一時的なお金の立て替えや治療費の負担は非課税になる可能性がある
親子での借金は、一定条件を満たしていれば贈与とならずに、課税されません。また、治療費を子どもが代わりに支払っても、必要な金額の範囲内であれば非課税になります。
一方で、貸したお金をあるとき払いの催促なしにしたり、本来必要な治療費よりも多くお金を渡したりすると、その金額分は通常の贈与として課税対象です。課税されないためには、借用書を作る、必要な金額以上は渡さないといった対策をするとよいでしょう。
出典
国税庁 No.4420 親から金銭を借りた場合
e-Gov 法令検索 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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