父が亡くなり、再婚相手の継母と私の間で相続の話が出ています。父の財産は「約3000万円」。実子の私と継母では割合が変わりますか?

配信日: 2025.08.16
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父が亡くなり、再婚相手の継母と私の間で相続の話が出ています。父の財産は「約3000万円」。実子の私と継母では割合が変わりますか?
Aさんは父親を亡くし、相続の手続きを進めることになりました。Aさんの母親は20年前に亡くなっていますが、父親は10年前に再婚し、再婚相手には前夫との間に子が2人います。
 
父親の住まいは賃貸だったので、遺産は預金のみで約3000万円です。この3000万円をどう分割すればよいのか、相談にいらっしゃいました。
蟹山淳子

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

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相続できる人はだれ?

Aさんの家族関係を整理すると、図表1のようになります。
 
図表1

図表1

 
亡くなった父親(被相続人)の遺産を相続する権利があるのは、民法で定められた法定相続人です。被相続人に妻と子がいる場合は、妻と子が法定相続人として、遺産を分けます。
 
さて、ここでの問題はBさん・Cさんが法定相続人に含まれるかどうかです。家系図を見ただけで、法定相続人かどうかは分かりません。法定相続人となる子は、戸籍上の子です。
 
Bさん・Cさんの実の父親は別にいますから、母親がAさんの父親と結婚したからといって、彼らが自動的にAさんの父親の戸籍上の子になるわけではありません。養子縁組をしていれば法定相続人、養子縁組をしていなければ戸籍上の親子関係はなく、法定相続人には含まれないのです。
 
Aさんに父親の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を全て取得して確認してもらったところ、父親とBさん・Cさんには戸籍上の親子関係がないことが分かりました。したがって、法定相続人は再婚相手の継母とAさんの2人です。
 

いくらずつ相続する?

民法では、法定相続人が相続財産を分ける割合、すなわち法定相続分も決められています。配偶者と子で分ける場合は配偶者が2分の1、残りの2分の1を子全員で分けて相続します。
 
今回は法定相続人である子がAさんだけなので、Aさんの法定相続分は2分の1です。相続財産は預金約3000万円ですから、継母とAさんで約1500万円ずつ相続します。
 
ところで、今回のケースではBさん・Cさんは戸籍上の子ではありませんでしたが、仮に養子縁組されていて法定相続人であった場合は、子の相続分2分の1を3人で等分に分けるので、Aさんの相続分は6分の1(約500万円)ということになってしまいます。
 
ただし、法定相続分は絶対ではありません。遺言書で別の分け方が指定されていた場合や、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で合意した場合は、別の分け方をすることも可能です。
 

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遺言書が出てきたらどうなる?

もしもAさんにとって不利な遺言書、例えば「すべての財産を妻に相続させる」といった内容の遺言書があって、継母が遺言書どおりに全部相続すると主張したら、Aさん何も相続できないのでしょうか。
 
Aさんは被相続人の子で法定相続人なので、上記のような遺言書があっても遺留分(最低限これだけは受け取れるという割合)を主張できます。Aさんの法定相続分は2分の1なので、遺留分はさらにその2分の1、すなわち4分の1です。
 
継母が約3000万円を全部受け取ってしまっても、その4分の1である約750万円を継母に請求できます。これを「遺留分侵害額請求」といい、遺留分の侵害があったことを知ってから1年以内に手続きをする必要があります。
 

まとめ

Aさんは、継母と2分の1ずつ分けて相続すると知り、安心したとおっしゃっていました。被相続人(亡くなった人)の財産は、原則として法定相続人が法定相続分で分けて相続します。誰が法定相続人かは、被相続人の出生から亡くなるまで、すべての戸籍のなかで親族関係があるかどうかで判断します。
 
ちなみに、配偶者は被相続人が亡くなったときの戸籍上の配偶者でなければ、相続の権利はありません。何十年も夫婦として暮らしていても、離婚した場合や事実婚の夫婦である場合は法定相続人にはなれないのです。
 

出典

内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】
最高裁判所 遺留分侵害額の請求調停
 
執筆者 : 蟹山淳子
CFP(R)認定者

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