祖父母が「孫の教育のために」と、私の子どもの塾代や学費を支援してくれています。“年間100万円”を超えそうですが、贈与税の対象になりますか?
「善意なのに税金がかかるの? 」「いくらまでなら大丈夫? 」と不安を感じる方も多いでしょう。
この記事では、教育支援と贈与税の関係について、非課税で受け取るための方法や注意点をわかりやすく解説します。安心して支援を受けるために、ぜひ参考にしてください。
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「孫のための学費支援」でも贈与税がかかることがある?
祖父母が孫のために教育費を出すことは、基本的には「贈与」にあたります。ただし、孫は祖父母の扶養義務者とみなされるため、通常必要と認められる教育費(学費や教材費など)は贈与税が非課税とされています。この非課税措置は、祖父母と孫が生計を別にしていても適用されます。
非課税となる代表例としては、祖父母が直接学校などに必要な教育費を支払う場合や、特例制度の「教育資金の一括贈与」を利用して一括で教育資金を贈与し、その資金を教育費に使う場合があります。
ただし、教育費以外の贈与や、必要な額を超えた贈与、または一括贈与によって使い切れなかった資金は贈与税の課税対象となります。よって、「孫のためだから大丈夫」と思っていても、支援の方法やタイミングによっては贈与税がかかることがあるため注意が必要です。
非課税にする3つの方法と注意点
1.都度直接支払い
もっとも安全な方法は、祖父母が塾や学校に直接支払うことです。例えば、塾の月謝を毎月祖父母が直接振り込んだ場合は非課税です。このように「教育のために必要な費用をその都度、直接支払う」場合は、贈与税はかかりません。ポイントは「その都度」であり、「まとめて前払い」や「本人や親に渡す」となると、贈与とみなされる可能性があります。
2.年間110万円までの贈与
祖父母が親(あなた)に現金を渡し、それを教育費にあてる場合でも、1年間に110万円以内であれば贈与税はかかりません。
ただし、毎年同じ金額を贈与する「定期贈与」とみなされると、税務署から贈与税が課されることがあるため注意が必要です。
3.教育資金の一括贈与の特例制度
大きな金額を一括で支援したい場合は、「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」を利用するのも一つの方法です。
この制度では以下の金額まで贈与税がかかりません。
・学校教育費(授業料など)
最大1500万円まで非課税
・学校外教育費(塾や習い事など)
最大500万円まで非課税
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
・受贈者(孫)が30歳未満であること(前年の合計所得金額が1000万円以下であることも要件)
・金融機関で専用の「教育資金口座」を開設すること
・支払い内容を証明する書類(領収書など)を都度金融機関に提出すること
また、この制度は令和8年(2026年)3月31日までの期間限定の特例制度です。
制度を知って、安心して支援を受けよう
父母からの教育支援は、「その気持ち」によって支えられている大切な資金です。その善意が贈与税で損なわれないよう、制度を正しく理解しておくことが重要です。支援方法を工夫すれば、贈与税の心配なく、子どもの将来に向けたサポートを続けてもらえます。
正しく知って、安心して支援を受け取りましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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