生前贈与の課税対象が死亡前の「3年間」から「7年間」に拡大! 事実上の“増税”を回避する3つの方法

配信日: 2025.08.17
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生前贈与の課税対象が死亡前の「3年間」から「7年間」に拡大! 事実上の“増税”を回避する3つの方法
相続税対策の柱として利用されてきた生前贈与が、令和5年度税制改正によって変わりました。それまで、相続開始前の3年以内に贈与された財産が相続財産の加算対象でしたが、期間が7年へと拡大されたのです。
 
この記事では、期間延長の影響や背景、増税リスクを最小限におさえるための対策などをまとめました。
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生前贈与の変更点、何が変わった?

本人が生きている間に、財産をあらかじめ子や孫などに移転する生前贈与は、従来の制度では、相続開始前の3年以内の贈与が相続財産の加算対象でした。
 
令和5年度の税制改正で、暦年課税の場合、相続財産への加算対象となる期間が従来の相続開始前3年以内から7年以内に延長されました。
 
令和6年1月1日以降に贈与によって取得する財産にかかる相続税について適用され、延長された4年間の贈与については、総額100万円までは相続財産に加算しない控除措置も設けられています。しかし、多くのケースで相続税負担が増加する可能性があるでしょう。
 

期間延長の理由とその影響

少子高齢化が進む日本において、資産の世代間移転をより円滑に進め、公平な税負担を実現することは、喫緊の課題といえます。
 
加算期間の延長の背景には、生前贈与を利用した相続税対策への規制を強化したい国の意図もあると考えられるでしょう。
 
この変更により、死亡直前の贈与による節税効果が薄れるといえるため、被相続人は自身の健康状態や資産状況を考慮し、より早い段階から贈与の計画を立てる必要があるでしょう。
 

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負担増を回避する3つの方法

期間延長による影響を最小限におさえるためには、以下の3つの方法が考えられます。
 

1. 贈与税の非課税枠を最大限に活用する

贈与税には、年間110万円の基礎控除枠が設けられています。この枠内で贈与を行う限り、贈与税はかからず、また相続財産の加算期間外であれば、相続税の加算対象にもなりません。
 
毎年110万円ずつ贈与を続けることで、数年後にはまとまった金額を非課税で次世代に引き継げるでしょう。
 
この方法では、非課税枠内での適正な贈与であったことを証明できるよう、贈与契約書を毎年作成し、贈与の実態を明確に残しておくことが大切です。
 

2. 特例贈与制度を活用する

特定の目的のために行われる贈与には、以下の非課税枠を設ける特例があります。
 
・直系尊属から受ける教育資金の一括贈与に係る非課税措置

直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与する場合、一定の手続きを経ることで、最大1500万円までが非課税となる制度です。
 
この制度では、学校の入学金や授業料だけでなく、塾や習い事など、幅広い教育関連費用が対象となります。贈与を受けた人が30歳に達するまでに使い切らなかった残額は、贈与税の課税対象となりますが、計画的に利用すれば節税効果が期待できるでしょう。
 
・直系尊属から受ける結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置

直系尊属から18歳以上50歳未満の子や孫に、結婚や子育ての資金を一括で贈与する場合、一定の手続きを経ることで、最大で1000万円までが非課税となる制度です。
 
・直系尊属から受ける住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置

直系尊属から18歳以上の子や孫へ住宅取得の資金などを贈与した際、一定の要件を満たせば、一定額まで非課税となる制度です。
 
非課税限度額は、省エネ等住宅であれば1000万円まで、それ以外の住宅は500万円までです。この制度は、若い世代がマイホームを取得する際の支援となり、かつ相続税対策としても有効といえます。
 

3. 相続時精算課税制度を活用する

相続時精算課税制度は、生前贈与された財産を相続時にまとめて精算し、相続税の対象とする制度です。原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに財産を贈与した際に選択できます。
 
贈与税の基礎控除(年間110万円)と累計2500万円までの特別控除が併用できるのが特徴です。
 
生前贈与の期間が相続開始前7年以内の場合、相続時精算課税制度を利用した方が有利になるケースがあります。
 
相続開始前7年以内の贈与における控除額は、暦年課税では相続財産加算対象外となるのは最大100万円までであるのに対し、相続時精算課税制度では、先に同制度を使って贈与された金額から基礎控除が最大770万円差し引かれて相続財産に加算されるためです。
 
ただし、一度この制度を選択すると同じ贈与者と受贈者の間では、その後の贈与も全て相続時精算課税制度の対象となる点に注意が必要です。
 

加算期間延長の影響を最小限にするためには、年間110万円の非課税枠を継続的に活用するなどの方法がある

生前贈与の加算期間延長は、相続税対策を考えるうえで無視できない変化です。
 
負担をおさえながら大切な財産を次世代に引き継ぐには、年間110万円の贈与税非課税枠の活用や特例贈与制度の活用、相続時精算課税制度の選択などを検討しましょう。
 
相続をスムーズに行うには、自身の家族構成や資産状況、将来の展望を踏まえ、最適な生前贈与プランを早めに策定することが大切です。相続にかかわる税金の計算は複雑になることが多いため、専門家のアドバイスを受けるとよいかもしれません。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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