義父が亡くなり、遺産「800万円」を手にした夫。私や息子に分けると、「税金がかかるから」と口座に振り込んでくれません。50万円ずつもらったとしても、「課税」されるのでしょうか?

配信日: 2025.08.18
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義父が亡くなり、遺産「800万円」を手にした夫。私や息子に分けると、「税金がかかるから」と口座に振り込んでくれません。50万円ずつもらったとしても、「課税」されるのでしょうか?
突然遺産を手に入れたことで、相続税と向き合い、税金について考えるようになる方もいらっしゃるようです。そこで、 この機会に、いずれくる子どもへの相続を考え、家族内で非課税の範囲内で贈与を考えるということもあるでしょう。
 
そこで、50万円ずつ毎年贈与していったとき、どのように課税されるのか考えていきます。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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相続で受け取った財産を「そのまま分ける」と税金がかかる?

まず、押さえておきたいのは、相続と贈与は別の税金制度だということです。簡単に説明すると、相続税とは、亡くなった方の財産を相続人が受け取る際にかかる税金です。対して贈与税とは、一般的には相続人以外が相続以外の契約に基づき、個人間で財産を渡す際にかかる税金です。
 
それを前提に、今回のケースの課税関係について考えていきましょう。まず、夫が手にした遺産800万円は、「夫が法定相続人として相続した」ということになるため、原則として相続税が課税されることはないでしょう。
 
一方で、相続税を払った後であっても、贈与税は別で発生します。なぜなら、相続で手に入れた財産を、相続人が自分の財産として他者に譲り渡す行為は贈与であり、両者は切り離された行為といえるからです。
 

50万円の贈与に対して贈与税はかかるのか

先ほど、相続によって得た財産を配偶者や子などに渡す行為は贈与であり、贈与税はかかるものの、相続税はかからないことを確認しました。
 
では、続きまして、贈与税についてです。こちらについてもかからないといえます。たしかに、配偶者や子に対して贈与しても、贈与税の対象にはなります。
 
しかし、贈与税は1年間で110万円を超える贈与を受けた部分にかかります。この110万円という額は、贈与する人ごとに、ではなく、贈与を受ける人ごとに計算します。
 
そのため、「税金がかかるから」と課税を恐れて対応できないのであれば、年間110万円までの範囲で贈与することで口座にお金を振り込むことができます。年間50万円ずつという金額も問題ないでしょう。
 

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ただし、課税されることもある

ところが、贈与時に贈与税がかからないとはいえ、一定の条件下で例外的に、相続税がかかる場合もあります。
 
なぜなら、相続税には暦年課税と呼ばれる考え方があるからです。暦年課税について簡単に説明すると、相続の開始の一定期間前に受け取った贈与は、その時に贈与税がかからなくとも、実質的に相続の一部として考えられ、相続税がかかるという仕組みです。
 
暦年贈与の期間は、令和8年12月31日までは相続開始前3年とされています。それ以降は、段階的に期間は拡大していき、令和9年1月1日から令和12年12月31日までは、令和6年1月1日から被相続人の死亡の日までの間となります。そして最終的に、令和13年1月1日からは相続開始前7年間がその範囲となります。
 
とはいえ、すでに贈与税を払っている場合は、その額は相続税の額から控除され、二重払いとはならないので、心配する必要はないでしょう。
 

まとめ

基本的に相続と贈与は別制度であるため、相続で受け取った財産を贈与しても、それが贈与税非課税の範囲であれば、税金がかかりません。
 
しかし、贈与税がかからずとも、相続時には最大で相続開始前7年間分は、暦年課税によって相続税がかかる可能性もあります。
 
相続と贈与については別制度ですが、今回のケースのように両者が関連し合う場合もあるでしょう。もし、不安な点や難しいと感じる部分があれば、住所地を管轄する税務署に相談するほか、信頼できる税理士などに相談することをおすすめします。
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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