親が亡くなり、葬儀にかかった費用は「約200万円」でした。この費用は、相続税から控除できるのでしょうか?

配信日: 2025.08.26
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親が亡くなり、葬儀にかかった費用は「約200万円」でした。この費用は、相続税から控除できるのでしょうか?
親を亡くした悲しみのなかで、避けられないのが葬儀の準備と費用負担です。葬儀にかかる費用は決して安くなく、200万円を超えることも珍しくありません。
 
そのようなとき、「この費用は相続税の計算から差し引けるのだろうか」と気になる方もいるいのではないでしょうか。本記事では、相続税上で控除できる葬儀費用の範囲や、対象とならない支出、申告時の注意点について解説します。
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葬儀費用は相続税の「債務控除」として差し引ける?

結論からいえば、葬儀費用の一部は相続税の計算上、相続財産から差し引くことが可能です。これを「債務及び葬式費用の控除」といい、相続税法第13条に明記されています。
 
葬儀費用は、亡くなった人(被相続人)の死亡に伴って発生した「必要不可欠な支出」として扱われるため、相続税の計算上控除対象となります。例えば相続財産が5000万円あり、葬儀費用が200万円かかった場合は、課税対象財産は4800万円として扱われます。
 

控除の対象となる葬儀費用・ならない費用とは?

控除できるかどうかは、「実際に葬式を行うために必要だった支出かどうか」で判断されます。代表的な控除対象・対象外の項目は、以下のとおりです。


<控除できる費用の例>

・通夜・葬儀・告別式にかかった費用
・火葬や遺体の搬送費
・霊柩車の費用
・祭壇・棺・遺影写真などの準備費用
・読経料(お布施など)
・葬儀スタッフへの謝礼
・死亡診断書の取得にかかった費用
 
<控除できない費用の例>
・香典返し
・法事(初七日・四十九日など)の費用
・墓地・墓石の購入費
・仏壇や仏具の購入費
・遺族の衣装代や交通費(参列者分を含む)
・会食(精進落とし)の費用

葬儀に直接関係しない費用や相続人側の都合でかかる費用は、控除の対象外となります。例えば、葬儀費用が200万円かかった場合でも、その全額が控除対象になるとはかぎらないため、領収書や支出明細を整理し、項目ごとに判断することが重要となります。
 

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控除を受けるには?申告時の手続きと注意点

葬儀費用を控除するには、相続税の申告書の「債務及び葬式費用」の欄に記載する必要があります。法定相続人が複数いる場合は、誰がどの費用を負担したのかを明確にしておくことも重要です。具体的な申告手順は、以下のとおりです。


・通夜費用、火葬料、祭壇費など費用の内訳一覧作成する
・領収書や明細書は必ず保管しておく
・控除対象外の支出は一覧から除外する
・相続税の申告書に葬式費用を記入し、必要に応じて明細を添付する

なお、国税庁の見解によると、領収書の提出は必須ではないものの、税務調査で確認される可能性があるため、必ず保管することが推奨されています。
 
また、親族間で費用負担のトラブルを避けるため、誰がいくら負担するかをあらかじめ話し合い、文書に残しておくと後々のトラブル回避にもなります。
 

暮らし方を工夫して、老後資金を無理なく管理しよう

葬儀費用は、数十万円から200万円を超えるケースまで幅がありますが、その一部は相続税の計算時に「債務控除」として差し引くことが可能です。ただし、対象外の支出も多く、すべてを差し引けるわけではないことには注意が必要です。
 
相続税の負担を正しく軽減するためには、控除対象となる費用をきちんと整理し、領収書などの書類をしっかり保管しておくことが大切です。不明点があれば、税理士などの専門家に相談することで、安心して手続きを進められるでしょう。
 
故人を見送るために必要な支出だからこそ、冷静に整理し、正確に申告していくことが、ご遺族にとっても負担を軽くする第一歩になります。
 

葬儀費用は一部控除可能。記録を残して正しく申告しよう

葬儀にかかった費用のうち、通夜・火葬・お布施など「葬式に直接必要な支出」は相続税の控除対象となります。200万円の費用全額が認められるわけではありませんが、実際に支払った費用の内訳を明確にし、必要書類を整えることで適切に申告できます。香典返しや法事などは、控除対象外ですので注意が必要です。
 
相続税の負担を正しく減らすためにも、領収書の保管や内訳の整理を忘れずに行いましょう。
 

出典

国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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