4月から大学生の子どもが一人暮らしを始めました。家賃も含めて「毎月12万円」の仕送りをしていますが、この場合は“贈与税”がかかるのでしょうか?

配信日: 2025.08.26
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4月から大学生の子どもが一人暮らしを始めました。家賃も含めて「毎月12万円」の仕送りをしていますが、この場合は“贈与税”がかかるのでしょうか?
大学生になり、一人暮らしを始めたお子さまに生活費を仕送りしている保護者の方も少なくありません。しかし、この場合に贈与税がかかるのではないかと、不安に感じている方もいるでしょう。
 
そこで本記事では、毎月12万円の仕送りに贈与税がかかるのか、贈与税がかかるケースなどを解説します。
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月ごとにかかる生活費の仕送りであれば、贈与税はかからない

基本的に通常の仕送りであれば、贈与税を支払うことなく送れます。国税庁によると、贈与税がかからないケースは、扶養義務者間で生活費や養育費として必要額をその都度渡す場合です。
 
扶養義務者とは直系の血族や夫婦のことを指し、自身の収入のみで生活できない場合、経済的に支援する義務があります。親子間では扶養義務があるため、家賃や生活費、学費などの目的であれば、贈与税を負担せずに仕送りができます。
 
毎月12万円であれば、家賃や学費などで生活費の範囲として必要な額と認められやすいです。一方、一度に数ヶ月や数年分をまとめて送る場合や、そのお金が投資や貯蓄などに使用される場合には贈与税が発生します。
 

贈与税とは?

そもそも贈与税とは、年間110万円を超える財産を受け取る場合に支払う必要がある税金です。しかし、扶養義務者から生活費や養育費として必要額をその都度受け取る場合、この限度を超えても原則として贈与税はかかりません。
 
扶養義務者とは、直系の血族や夫婦などを指し、自身の収入のみで生活できない場合に経済的支援をする義務があります。したがって、年間の合計額が110万円を超えたとしても適切な金額内であれば、原則贈与税を負担する必要はありません。
 

一人暮らしの大学生にかかる1ヶ月の生活費

全国大学生活協同組合連合会の「第60回学生生活実態調査」によると、下宿生の1ヶ月における生活費は2024年が約11万7000円でした。2023年は約11万3000円、2022年が約11万1000円です。つまり、毎月おおむね12万円が必要であるといえます。では、この額の具体的な内訳を見ていきましょう。
 
図表1

2024年 2023年 2022年
住居費 5万6090円 5万4130円 5万3020円
食費 2万6110円 2万5880円 2万4130円
教養娯楽費 1万3870円 1万2840円 1万3270円
日常費 7520円 7330円 7430円
交通費 5050円 4330円 4210円
電話・通信費 3320円 3190円 3460円
書籍費 1500円 1500円 1540円
勉学費 1300円 1260円 1430円
その他 2710円 2290円 2170円

全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告より著者作成
 
図表1から、毎月の生活費を12万円とすると、約3分の2を住居費と食費が占めていることが分かります。どちらも生活をするなかで欠かせませんが、住居費であれば、駅や町の中心部から少し離れたエリアで部屋を借りるなどで家賃を下げる、食費であれば外食や学食の使用を控えて自炊するなどの工夫で費用を抑えられます。
 

大学生が生活費を稼ぐ方法

仕送り以外で大学生が生活費を賄ったり補ったりする方法は、アルバイトや奨学金の利用です。日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査結果」によると、学生の約8割がアルバイトをしています。年間で約37万6000円の収入をアルバイトで得ており、1ヶ月分にすると約3万1000円です。
 
特に早朝や深夜は昼間に比べてアルバイトの時給が高いため、稼ぎやすいといえます。経済的な理由で大学への進学が困難な場合は、奨学金が利用できます。多くの団体で制度を設けており、それぞれ受給の条件があるため、該当するものはないか見てみるといいでしょう。
 

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贈与税がかかる場合の手続き

贈与税は、一度にまとめて大金を送ったときや生活費以外の目的で年間110万円以上の財産を受け取った場合に、受け取った側が申告・納税する必要があります。
 
贈与税の課税方式には、年間贈与に課税する「暦年課税」と一定条件下で選択可能な「相続時精算課税制度」の2種類があります。どちらも、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間が申告期限です。納税も申告期限と同じく、翌年の3月15日が締め切りです。
 
暦年課税は累進課税式で、1年間に受け取った額が110万円を超える場合に課税されます。相続時精算課税制度は、60歳以上の両親や祖父母から18歳以上の子どもや孫が受ける生前贈与で、生涯で2500万円までは非課税、超過分は一律20%の税金が適用されます。
 
贈与税は他の税金よりも支払う額が多くなる場合があるため、トラブルにならないよう事前に十分確認しておきましょう。
 

仕送りは子どもの自立支援と生活安定のために計画的に送ろう

1月の生活費として12万円は妥当な金額であり、贈与税の対象外といえるでしょう。アルバイトをしても生活費を賄える金額を稼ぐのは厳しいと考えられるため、仕送りは大学生にとって重要な収入源であるといえます。
 
子どもが一定水準の生活を送るためにも、一般的な生活費をその都度仕送りし、大学生活をサポートしてあげてください。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
独理行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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