夫が義父の遺産1000万円を相続しました。夫とお金を出し合っている「家計管理用」の私の口座に500万円を移しても問題ないでしょうか?

配信日: 2025.09.04
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夫が義父の遺産1000万円を相続しました。夫とお金を出し合っている「家計管理用」の私の口座に500万円を移しても問題ないでしょうか?
ご主人が相続で受け取った1000万円。そのうち500万円を、普段から夫婦で使っている“家計管理用口座”に移していいのかな……? と気になる方も多いと思われます。夫婦のお金のやりくりとしては自然なことですが、実は“税金の考え方”が関わってくる場面でもあります。
 
本記事ではその注意点と安心して、管理するための方法を考えていきます。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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相続財産の性質

相続で受け取った財産(預金・不動産など)は、本来、夫の「特有の財産」となり、法律上は夫婦共有財産ではなく、夫に所有権があります。そのため、夫がそのまま所有しているかぎりは「夫の財産」という位置づけです。
 

妻名義口座に移すとどうなるか?

実際は配偶者と一緒に使うために、家計管理用の妻の口座へ移すケースはありうるでしょう。ただ、500万円を妻の口座に振り込むと、形式上は「夫から妻への贈与」とみなされる可能性があります。
 
贈与の場合、基礎控除年間110万円を超える部分は贈与税の対象です。500万円を一度に移すと、約390万円が課税対象となり、多額の贈与税が発生する可能性があります。具体的には、390万円 × 20% − 25万円(控除額)で53万円という計算になります。
 
また将来、夫に万一のことがあった場合、妻名義の口座に移した500万円も「夫の財産」とみなされ、相続税の申告対象になったり、他の相続人とトラブルになったりする可能性もあります。
 
「実質はご主人のお金だが、形式上は妻の口座」という状態のことを「名義預金」といわれ、相続税や将来の相続(例:夫の死後)で「名義預金」と判断される場合がありますので注意しましょう。
 

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家計管理用口座に入れる工夫

では、相続税が課されないようにするにはどうすればよいかというと、口座の名義と実態を一致させることが大事となります。「妻名義」だと贈与扱いになりやすいので、「夫名義の家計管理用口座」を作り、そこに相続財産を移して家計支出に充てるほうが安全です。
 
「これまで妻名義の口座を家計用に使ってきたので継続して妻名義の口座を使いたい」という場合は、毎年110万円以内で段階的に移すといいでしょう。
 
あわせて重要なのは、いつ・なぜ・どこからどこへ・いくら移したのか、理由・経緯をきちんと記載・保管しておくことです。さらに、「夫婦での生活費用途」「お互いの合意のうえでの家計管理目的」と分かるメモや合意書を簡単にでも残しておくと安心です。
 
一括の口座移管と110万円ずつ移した場合との比較を図表1にまとめてみました。
 
図表1

図表1

(筆者作成)
 

まとめ

最も簡単で安全なのは、「夫名義口座で家計管理」することです。妻口座に入れると後々、税務署から「贈与では?」と問われる可能性があります。
 
将来的に大きな金額の資産移動を考える場合、不安があれば贈与税や相続税の専門家に相談するなど慎重に進めましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 被相続人以外の名義の財産(預貯金)

 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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