親から「結婚式の費用300万円はもう返さなくていい」と言われました。これって“みなし贈与”として贈与税がかかることってあるのでしょうか?
本記事では、贈与税がかかるケースとかからないケースの違い、そして安心して援助を受けるために知っておきたいポイントを解説します。
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目次
「みなし贈与」ってどんなもの? 親の結婚費用援助も対象になる?
“みなし贈与”とは、本人たちに贈与の意識がなくても、税務上「実質的な贈与」とみなされて贈与税がかかるケースをいいます。たとえば、「返さなくていいお金」や「本来は自分が払うべき費用を他人が肩代わりした場合」などが該当します。
今回のように、「結婚式費用300万円を親が支払ってくれた」という場合、それをどう使ったかによって、税務上の取り扱いが変わってきます。
もし援助されたお金をそのまま結婚式に使ったのであれば、たとえ「返さなくていい」と言われていても、必ずしも贈与税がかかるわけではありません。なぜなら、税法上「社会的に妥当な費用負担」と判断される可能性があるからです。
結婚式費用の援助は基本的に贈与税の対象外。その理由とは?
国税庁や税理士の見解によると、親が子どもの結婚式費用を出すことは、一般的な慣習としてよくあることです。そのため、「社会通念上、妥当な援助」とみなされることが多く、贈与税の課税対象にはならないケースが一般的です。
また、結婚式というイベントは、親族や家族を含めた「家の一大イベント」としての性格も強いため、親が費用を負担するのは自然なこととされます。
ただし注意が必要なのは、援助されたお金を結婚式に使わず、預貯金や投資にまわした場合です。このような使い方は「結婚費用」ではなく、単なる資産の移転とみなされ、みなし贈与として贈与税がかかる可能性があります。
300万円でも安心? 非課税制度を使えば税金対策にもなる
結婚式費用が高額でも、非課税の制度を活用すれば、贈与税の心配を減らせます。
たとえば、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税制度」があります。これは、平成27年4月1日から令和9年3月31日までの間に、祖父母や両親など直系尊属から、結婚や子育てに使う目的で最大1000万円まで非課税で贈与を受けられる制度です。そのうち、結婚関連費用には最大300万円までが非課税の対象です。
この制度を使えば、たとえ300万円を援助されても、税金はかかりません。ただし、以下のような条件があるため、利用を検討している方は注意しましょう。
・援助金は指定の金融機関に預ける必要がある
・金融機関を通じて所定の手続きを行う必要がある
・結婚式にかかった費用の領収書などを提出する必要がある
制度を利用しない場合でも、実際に結婚式費用として使われたことが明確なら、贈与税がかからないケースが多いですが、金額が高額な場合や使途が不明確な場合は、事前に専門家に相談するのが安心です。
まとめ
親から「返さなくていい」と言われて受け取った結婚式費用でも、すぐに「贈与税がかかる」とは限りません。実際に結婚式に使われていて、社会通念上の範囲であれば、多くの場合は課税対象外です。
ただし、お金の使い方によっては“みなし贈与”と判断されるリスクもあるため、注意が必要です。万が一に備え、使途を明確にし、必要であれば非課税制度を活用し、専門家に相談することが大切です。
制度を正しく理解しておけば、将来的に思わぬ税負担を避けられ、安心して親のサポートを受けることができます。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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