叔父の訃報で「東京から福岡」へ。香典を合わせ「10万円」以上の出費ですが、お葬式の交通費は“自腹が常識”なのでしょうか?
例えば、東京から福岡に向かった場合、航空券や宿泊費、香典を合わせて10万円近い出費になることもあります。故人を悼む気持ちはありつつも、「この交通費、自腹が常識なの?」と戸惑うケースもあるかもしれません。
本記事では、葬儀における交通費負担の一般的な慣習や、近年増えている例外的な対応について分かりやすく解説します。突然のことに慌てないよう、参考にしてください。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
参列者の交通費は基本的に「自腹」が一般的
葬儀にかかる費用には、祭壇や会場費、僧侶への謝礼などがあります。明確に決められていないものの、喪主側が負担するのが一般的です。参列する側の交通費や宿泊費については、参列者の自腹が常識とされています。
例えば、東京から福岡まで飛行機を利用すると、時期や利用する航空会社にもよりますが、往復で2~4万円はかかり、宿泊費や香典を加えれば10万円を超えることも珍しくありません。家族で行くとなれば、さらに費用がかさみます。
地方から都市部への移動であっても同じように負担は大きく、遠方の葬儀に参列する経済的ハードルは高いといえるでしょう。それでも多くの人が自腹で参列するのは、葬儀が「故人に縁ある人が自らの意思で参列する」場であるためで、喪主が負担する必要はないというのが一般的な考え方だからです。
例外:近親者や特別に参列をお願いした場合は旅費が出ることも
葬儀の交通費は参列者の自己負担が基本ですが、近しい関係性では例外もあります。特に、兄弟姉妹や子ども世帯など故人に直結する親族が遠方から駆けつける場合、喪主側が「お車代」として交通費の一部を包むことがあります。
親族へのお車代については、明確なルールがあるわけではありませんが、実費を渡すか、あるいは3000円~1万円程度を目安とするケースが見られます。
一方、「親族は互いに自腹で参列する」と取り決めている家庭もあるなど、関係性や地域慣習、そして喪主の意向によって対応が分かれるのが実情です。
また、会社関係や友人知人などの立場では、喪主が交通費を負担することはあまりなく、あくまで自費での参列が一般的です。負担の有無は「故人との距離感」と「親族の考え方」に左右されるので、共通ルールのようなものは存在しないといえるでしょう。
参列者としての心構え
喪主側が参列者の負担を少しでも和らげようと、金銭以外の方法で気遣いを示すこともあります。実際に複数の葬儀会社のサイトでも、土地勘がない参列者のため宿泊先を案内する、後日お中元・お歳暮を贈るなど、金銭以外の形で気遣いを示す対応が紹介されています。
しかしながら、こうした心遣いはあっても、旅費そのものが補てんされるケースはまれであり、あくまで参列者が自分で負担するのが一般的です。
突然の訃報は、気持ちの面だけでなく、費用や日程の調整でも大きな負担となります。故人との関係性にもよりますが、遠方で参列が難しいと感じたら、親族に相談して現実的な対応を選ぶのも1つの方法です。参列できない場合に弔電や供花で気持ちを伝えることは、十分に礼を尽くした対応といえるでしょう。
大切なのは「参列=義務」と思い込まず、それぞれの事情に合わせて無理なく弔意を表すことです。形式にとらわれすぎず、心を込めて故人をしのぶ姿勢こそが本質ではないでしょうか。
まとめ
遠方から葬儀に参列する際の交通費や宿泊費は、基本的に参列者が自腹で負担するのが一般的です。ただし、近親者や喪主から特別に参列をお願いされた場合には、旅費が支給されるケースもあります。
大切なのは形式ではなく故人を思う心です。費用や距離に悩むときは、参列するかどうかだけでなく、弔電や供花といった方法も含めて親族と相談してみてはいかがでしょうか。
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種