夫の実家に帰省中、義父が「孫に使って」と300万円を渡してくれた!“非課税”で受け取る方法はありますか?【FPが解説】
その際に多額の現金を受け取ると、喜びと同時に「税金はどうなるのか」という不安が湧くかもしれません。税金に関しては、実はシンプルで「名目(教育資金かどうか)と手続きの有無」が分かれ目となります。
本稿では教育資金の特例が使える条件、手続きの流れ、手続きがない場合の申告・納税の仕方まで、FP目線で実務的に整理します。
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義父が「孫に使って」と300万円を渡してきたら、どうする?
義父から孫のために300万円を渡されると、うれしい反面、「税金はかかるのか」と不安になることもあるでしょう。お金をもらっただけでも税務上の扱いは単純ではなく、最終的に税がかかるかどうかは、「名目(教育資金かどうか)」と「所定の手続きをしているか」で決まります。
教育目的で適正に手続きを取れば、「教育資金の一括贈与の制度」が適用されるので税金が免除される一方、手続きがない場合は「暦年課税(基礎控除110万円)」が原則となります。
教育資金の一括贈与で非課税にできる場合
祖父母など直系尊属から子や孫への「教育資金の一括贈与」は、一定の要件(1500万円までの金額に相当する部分の価額であることや、贈与を受ける孫が30歳未満など)を満たし、金融機関等と教育資金管理契約を結ぶことで非課税扱いになります。
対象となる支出は、学校の授業料や入学金、一定の習い事費用などに限定され、資金は金融機関を通じて管理・支払いを行い、領収書などで支出を証明する運用が求められます。契約の終了や受贈者の年齢到達時の扱いなど細かなルールもあるため、契約前に金融機関や税務署の案内を確認してください。
手続きがなければ暦年課税になる
教育資金の特例を使わない、あるいは手続きが未了の場合は暦年課税が適用されます。暦年課税では1年間に受けた贈与の合計から基礎控除110万円を差し引いた額が課税対象となりますから、今回の300万円だと、課税対象は300万円-110万円=190万円になります。
贈与税は累進税率(速算表)で計算されるため、概算税額を知りたいときは国税庁の速算表で確認するのが確実です。今回の場合は「300万円-110万円=190万円」で、速算表によると税率が10%のため、19万円が課税されるでしょう。
これ以外にも贈与がある場合は合算する必要がありますので、税率の確認をおすすめします。
申告・納税の実務と受贈者が取るべき対応
贈与税の申告・納付は受贈者(贈与を受けた人)の義務で、申告期限は贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までです。手続きが必要な場合は、振り込み記録や贈与の趣旨を示すメモ、金融機関との契約書などを保存しておき、申告時に備えましょう。
教育資金の非課税制度の利用を目指すなら、受贈後はすみやかに金融機関に相談して、管理契約を締結することが実務的に重要です。疑問があるときは税務署窓口や税理士に早めに相談しましょう。
まとめ
祖父母からの300万円は、子どもがいる家庭にとってありがたい贈与ですが、税務上は「名目」と「手続き」が必要です。
教育資金として非課税を狙うなら、口頭だけで済ませず受贈の実態(メモやメールなど)を必ず残し、金融機関での教育資金管理契約を速やかに進めてください。
手続きをしない場合は翌年の申告準備を忘れず、必要なら税理士に相談するのが安心です。また、法令や運用は改正されることがあるため、最新の情報は国税庁や金融機関で確認してください。
出典
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者 : 宇野源一
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