息子の奨学金「200万円」を肩代わりしたいです。「教育資金の一括贈与」を使えば、贈与税はかかりませんよね?

配信日: 2025.09.12
この記事は約 3 分で読めます。
息子の奨学金「200万円」を肩代わりしたいです。「教育資金の一括贈与」を使えば、贈与税はかかりませんよね?
子どもの奨学金返済を少しでも楽にしてあげたい。親としては自然な思いです。しかし、200万円をそのまま渡す場合、「贈与税がかかるのでは?」と心配になる方も多いでしょう。
 
そのようなときに耳にするのが「教育資金の一括贈与を使えば非課税になる」という話です。
 
ところが実際には、この制度を使って奨学金の返済を肩代わりすることはできません。本記事ではその理由と、現実的に肩代わりできる方法を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

教育資金の一括贈与とは?

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、父母や祖父母が子や孫に教育費をまとめて贈与する場合に利用できる特例です。制度を利用すれば、最大1500万円まで贈与税がかかりません。
 
非課税の対象になる教育費は、「教育機関に直接支払う費用」です。具体的には、入学金や授業料、施設費、教科書代、修学旅行費用などのほかに、塾や習い事の費用も含まれることがあります。
 
制度の利用にあたっては、金融機関と「教育資金管理契約」を結び、贈与者から預け入れた資金を教育費の支払いのたびに払い出す仕組みです。その際、支払い内容を証明する領収書等を金融機関に提出する必要があります。
 
つまり、この制度は将来使う教育費を前もって準備し、資金の利用を適切に管理するために設けられた仕組みなのです。
 

奨学金返済は非課税にならない理由

教育資金の一括贈与に係る非課税制度の対象は、あくまで「教育機関に直接支払う費用」に限られます。
 
ここで注意したいのが、奨学金の返済は在学中に借りたお金を返す「債務の弁済」として扱われるため、教育資金の一括贈与では非課税制度の対象に含まれないという点です。
 
したがって、息子の奨学金200万円を親が肩代わりする場合は、通常の贈与とみなされます。年間110万円基礎控除を超える部分については、贈与税が課税される可能性があるため注意が必要です。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

奨学金を支援するならどうすればいい?

奨学金の支援方法として、制度が利用できない場合でもいくつかの選択肢があります。代表的なのが、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」です。以下で、それぞれの内容についてみていきましょう。
 

1. 暦年贈与

贈与税には年間110万円までの基礎控除があるため、200万円を2年に分けて贈与すれば非課税で支援できます。
 
少額であれば、複数年に分散しての贈与も有効ですが、定期的な同額贈与とみなされると課税される可能性があるため注意が必要です。
 

2. 相続時精算課税制度

将来的に相続を見据えるなら、相続時精算課税制度の活用も有効な選択肢です。これは2500万円までの贈与を一度非課税で行い、相続時にまとめて精算する仕組みです。制度を選択後は暦年贈与の非課税枠は使えなくなりますが、早めにまとまった資金を渡したい場合には有効です。
 

■親が直接返済するのは注意!

親が直接奨学金を返済してしまう方法を考える人もいるでしょうが、これは「借金の肩代わり」とみなされ贈与税が課される可能性があります。見た目は本人が受け取っていなくても、税法上は贈与と扱われるので注意しましょう。
 

奨学金返済は制度の対象外。暦年贈与など別の方法で支援を

教育資金の一括贈与による非課税制度は、入学金や授業料など「これから教育に使う費用」を支援するためのものです。奨学金の返済は教育費ではなく債務の返済とされるため、この制度の対象外となります。
 
したがって、200万円を一度に贈与する場合は贈与税がかかる可能性があります。しかし、暦年贈与で複数年に分けて贈与する、あるいは相続時精算課税制度を利用するといった方法で贈与税の負担を抑えながら支援することができます。
 
息子さんの負担を軽くするには、制度の仕組みを正しく理解し、家計に無理のない方法を選ぶことが大切です。必要に応じて税理士などに相談すれば、安心して贈与計画を進められるでしょう。
 

出典

国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問