70代の父は「年金月7万円」で生活しています。私が「月5万円」の仕送りをした場合、贈与税の対象になる可能性はあるのでしょうか?
本記事では、月5万円の仕送りという具体例をもとに、贈与税がかかるかどうかのルールや、注意するポイント、税負担を抑える方法を解説します。
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仕送りと贈与税の関係 ― 親子間で生活費を送る場合の基本ルール
まず「仕送り」が税法上どう扱われるかということです。日本の税制では、親子間など扶養義務がある親族からの生活費・教育費として送られるお金は、「通常必要と認められる範囲」であれば 贈与税がかからない と定められています。贈与税がかからないケース例は以下のとおりです。
・送る側と受け取る側が親子などの親族関係であること
・「生活費」「教育費」など、日常生活を維持するために必要な目的に限定されていること
・そのお金が現実に生活費などに使われており、貯蓄や投資などにただため込まれているだけでないこと
このような場合は、金額がいくらであっても(極端に高過ぎない範囲なら)贈与税の対象外となることが多いです。
月5万円の仕送りをしたらどうなるか?
さて、ご相談のケース、「父の年金が月7万円、それに加えて子が月5万円の仕送りをする」という条件で考えると、年額でいうと 5万円 × 12ヶ月 = 60万円 を仕送りすることになります。
この「年60万円」が贈与税対象になるかどうかを、上記のルールと照らしてみます。
この仕送りが父の生活費の補填ならば、「生活費として通常必要な範囲」とみなされる可能性が高い。父の収入(年金7万円/月=年84万円)だけでは生活が立ちいかないなら、補助としての仕送りは必要とされる生活費と考えられやすいです。
月5万円という額が、父親の支出状況(住居費、光熱費、食費、医療費、日常の雑費など)から見て「常識的」かどうかがポイントです。もし、仕送りをすることで父が贅沢な支出をするような余裕が出て、それが毎月使われる目的が明確でない場合、国税の判断で「贈与目的」が強いとみられることもあり得ます。
貯金や投資に回されていないか、使途が生活費として使われているか、記録が取れるか…といったことが大切です。
結論として、この条件なら 贈与税がかかる可能性は低いといえます。ただし、「低い」だけであって、完全にゼロとは限らないので注意するポイントがあります。
贈与税を避けて仕送りするには“目的”と“使い道”がカギ
親に仕送りをする際、「贈与税がかかるかも」と不安になるかもしれませんが、月5万円の仕送りであれば、通常は課税対象になる可能性は低いと考えられます。特に、仕送りの目的が“生活を助けるため”であり、そのお金が実際に家賃・食費・医療費などに使われていれば、贈与税は原則かかりません。
ただし、仕送り額が高額になったり、使い道が不明確だったりすると、税務署に「贈与」と判断されるリスクが出てきます。安全に仕送りを続けるためには、振込記録や生活費としての使途を把握しておくことが重要です。
さらに、条件が整えば扶養控除を受けることも可能ですので、税負担を軽くする選択肢として検討する価値があります。大切なのは、制度の仕組みを正しく理解し、安心して親をサポートできる方法を選ぶことです。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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