80代の母から「500万円を生前贈与したい」と言われました。通常の贈与と“税金の負担”に違いはあるのでしょうか?

配信日: 2025.09.18
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80代の母から「500万円を生前贈与したい」と言われました。通常の贈与と“税金の負担”に違いはあるのでしょうか?
親が高齢になってくると、将来の相続を見据えて「元気なうちに渡しておきたい」と、生前贈与を提案されることがあります。特に、数百万円といったまとまった金額になると、贈与税や相続税への影響が気になりますよね。制度の選び方を間違えると、思わぬ税負担が発生することもあります。
 
本記事では、500万円の生前贈与に焦点をあてて、贈与の税金の仕組みや制度の違い、気をつけたいポイントについて、初めての方にも解説します。
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生前贈与と通常の贈与、どこが違うの?

「生前贈与」と聞くと特別な制度のように感じますが、税法上は通常の贈与と同じ扱いです。生前贈与とは、贈与者が生きているうちに財産を他人に譲ることです。これに対して、相続は贈与者が亡くなった後に財産を引き継ぐものです。
 
贈与が生前に行われる場合、かかる税金は「贈与税」です。一方、亡くなった後の財産には「相続税」がかかります。どちらも税負担が発生しますが、贈与のタイミングや方法によって税額に大きな差が出るため、仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
 

500万円を贈与されたときの税金はいくらかかる?

親から500万円を一度に贈与された場合、どの制度を使うかで税金の負担が変わります。
 
【暦年課税を使う場合】
 
暦年課税とは、1年間(1月1日~12月31日)に110万円までは非課税で、それを超えた分に税金がかかる制度です。直系尊属(親や祖父母)からの贈与であれば、特例贈与財産の税率・控除額が適用されます。

・500万円 – 110万円 = 390万円(課税対象額)
 
・この390万円に対して、特例贈与財産の税率15%、控除額10万円が適用されます。
 
・計算:390万円 × 15% = 58万5000円 – 10万円 = 48万5000円の贈与税

つまり、暦年課税を選んだ場合、48万5000円の贈与税がかかります。
 
【相続時精算課税を使う場合】
 
相続時精算課税制度では、60歳以上の親や祖父母などから18歳以上の直系卑属(子や孫など)への贈与であれば、令和6年1月1日から年間110万円までの基礎控除が設けられ、この金額までは贈与税はかからず、申告も不要です。
 
110万円を超えた分は累計2500万円まで特別控除となり、贈与税はかかりませんが、申告が必要です。累計2500万円を超えた分は、贈与税がかかります。
 
この制度を選べば、500万円の贈与でも贈与税は0円になります。
 
ただし、贈与された金額は将来の相続税計算に加算されるため、「あとでまとめて課税される可能性がある」と理解しておきましょう。
 

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生前贈与でも相続時に課税されるって本当?

令和5年度の税制改正で、生前贈与と相続の関係はより密接になりました。
 
相続財産に加算される期間が3年から段階的に延長され、暦年課税を選んでも、相続開始の7年前までの贈与が対象となります(完全適用は令和13年1月1日から)。
 
つまり、「今贈与を受けても、数年以内に相続が発生すれば、相続税の計算に含まれる」可能性があります。
 
一方で、相続時精算課税を選んだ場合は、贈与した時点で贈与税は0円でも、将来の相続時にその金額が課税対象になることが前提です。
 
そのため、「贈与税がかからないから得」と考えるのは早計で、トータルでの税負担を比較することが大切です。
 

まとめ:生前贈与は“制度選び”と“準備”がカギ

500万円の贈与を受ける場合、選んだ課税制度によって贈与税が発生するかどうか、また将来の相続税への影響が異なります。贈与税を避けられる制度でも、後の相続時に課税対象となることを見越して、家族全体の財産状況を踏まえた判断が必要です。
 
加えて、贈与契約書を作成する、必要な申告を行うなど、形式的な手続きも丁寧に行うことがトラブル回避につながります。税制は定期的に変更されるため、制度の最新情報を確認しながら進めましょう。
 
生前贈与は、適切に活用すれば家族の負担を減らし、円滑な資産承継にもつながります。金額の大小にかかわらず、一度立ち止まって制度を正しく理解し、できれば専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
 

出典

国税庁 財産をもらったとき
国税庁 令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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