就職した子どもから「月5万円」の生活費を受け取っていますが、「2万円」はタンス預金で積み立てています。子どもが結婚するときに渡そうと思うのですが、税金はかかりますか?
今回は、余った生活費に贈与税が課されるケースや子どもに結婚資金としてまとまったお金を渡すときのポイントなどについてご紹介します。
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目次
生活費が余ったら贈与になる可能性がある
子どもから送られる生活費は税金がかからない項目のひとつですが、非課税となるのはあくまで必要な金額分のみです。例えば、月3万円の援助で足りるにもかかわらず5万円を受け取っていると、余剰分の2万円は通常の贈与として扱われるでしょう。
贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられているため、通常の贈与になったとしても基礎控除を超えない範囲なら税金は課されません。しかし、同じ年に複数の贈与があり、結果として合計額で基礎控除を超過した分は贈与税の申告と納付が必要です。
例えば、毎月5万円の生活費を受け取り、そのうち2万円をタンス預金として貯金していたとします。「2万円×12ヶ月」の24万円は通常の贈与扱いになりますが、この金額であれば申告は必要ありません。
しかし、同じ年にほかの人から100万円を受け取ったとしましょう。すると、1年間の合計贈与額が124万円となるため、基礎控除超過分の14万円は贈与税が課されます。国税庁によれば、14万円のときの税率は10%なので、1万4000円の贈与税を申告し、支払うことになります。
貯めたお金をまとめて渡すことも贈与になる可能性がある
お金をさまざまな事情で一時的に預かって、あとで返金するだけであれば贈与にはなりません。しかし、今回のように生活費として渡されたお金を貯める行為は、一度自分のものとなった財産を貯金していることと同じになるでしょう。
民法第549条によると「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」と示されているように、贈与では財産の持ち主が贈与した相手に移っているためです。
贈与税は受け取った側が課されるため、子どもに渡すと子どもに課税されます。もし一時的に預かり、返却する予定ならその旨を書面の形に残して証拠を残した方がよいでしょう。
子どもに結婚資金を渡したいときのポイント
子どもへ結婚資金として費用を援助したい場合、結婚資金の非課税制度を利用する方法や、基礎控除の範囲内におさえる方法などがあります。
結婚資金の非課税制度とは、「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」という制度です。国税庁によると、一定の要件を満たしていて、事前に手続きをしていれば結婚資金が最大300万円まで非課税でまとめて渡せます。
さらに、子育て資金の援助も結婚資金と合計して最大1000万円まで非課税での一括贈与が可能です。もし結婚資金を援助すると決めている場合は、事前に金融機関で制度の申請・手続きをして専用の口座を作っておき、子どもが結婚するタイミングで渡すとよいでしょう。
また、1年間で贈与された金額が110万円以内であれば、目的を問わず税金はかかりません。自由に使えるお金を渡すために毎月2万円ずつ積み立てている場合、55ヶ月分までならまとめて非課税で渡せるでしょう。それ以上の金額になる場合は、複数年に分けて渡します。
一度自分のものになったお金を渡すと自分から相手への贈与になる可能性がある
生活費を援助してもらう際に税金はかかりませんが、生活費として必要な額以上を受け取った分は通常の贈与扱いです。さらに、受け取ったお金を積み立てて将来まとめて子どもに渡すと、金額によっては子どもに渡したお金は課税される可能性があります。
税金の負担をかけずに結婚資金を支援したい場合は、非課税制度を活用するか、基礎控除を超えないように渡すようにしましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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