退職金が出たので生活費を管理している妻の口座へ「1000万円」を移したいです。夫婦間の資金移動でも「贈与税」はかかるのでしょうか?

配信日: 2025.09.24
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退職金が出たので生活費を管理している妻の口座へ「1000万円」を移したいです。夫婦間の資金移動でも「贈与税」はかかるのでしょうか?
退職を機に、退職金からまとまった生活費を妻や夫に渡したいと考える人もいるでしょう。しかし、金額によっては贈与税が課される可能性があるため注意が必要です。
 
今回は、夫婦間でも贈与税の課税対象となる理由や、夫婦間の贈与で税金を計算するときの注意点、課税されないように渡す方法などについてご紹介します。
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夫婦間でも税金が課される可能性がある

家族内でのお金の受け渡しには税金が課されないように思えますが、別名義の口座へお金を入れると、元の口座名義の人物からの贈与とみなされ、金額によっては税金がかかるケースがあります。贈与税は兄弟間や夫婦間など、当事者同士の関係性にかかわらず課されるためです。
 
贈与税は、110万円(基礎控除)を超えると課されます。1000万円を口座移動すると、基礎控除よりも高い金額となるため、贈与税の課税対象です。
 
課税対象となった場合、今回のケースにおいては、税金は受け取った側である妻が支払うことになります。
 

夫婦間の贈与に課される税金は一般税率で計算する

異なる名義の口座に移したお金が贈与と判断された場合、関係性によって税率が変わるケースがあるため、注意が必要です。親や祖父母など直系尊属から18歳以上の子どもに渡す場合は特例税率、それ以外は一般税率が適用されます。
 
例えば、夫婦間で1000万円の贈与があったとすると、基礎控除を差し引いた890万円が課税対象です。夫婦間の贈与は一般税率が適用されるため、税率は40%、控除額が125万円なので231万円の贈与税を支払うことになります。
 
同じ金額でも特例税率だと税率は30%、控除額は90万円のため贈与税額は177万円と低くなります。
 
夫婦間の贈与に対して、税率の低い特例税率で計算して申告すると、過少申告と判断され、加算税が課されるおそれがあります。税率の選択には十分注意し、迷った場合は税理士などに相談しましょう。
 

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税額を少なく申告した場合のペナルティー

もし少ない税額となる特例税率で申告したり、そもそも課税対象なのに申告をしなかったりすると、本来の税金のほかに追加で税金が課されることがあります。
 
過少申告や無申告だった場合に課される可能性があるのは、過少申告加算税や無申告加算税です。過少申告加算税の場合は最大15%、無申告加算税なら最大30%の税率で課税されるケースがあります。
 
さらに、期限を過ぎて申告、納税をすると、延滞税も課税対象です。国税庁によると、延滞税は税金の利息として位置づけられています。令和4年1月1日から令和7年12月31日までの期間において、延滞した期間に応じて適用される税率は以下の通りです。

●納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:年2.4%
●納付期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降:年8.7%

延滞税は、延滞した期間に応じて変動し、期限を過ぎた日数が多くなるほど金額は高くなります。
 
税金負担を少しでも減らしたいのであれば、課税されると分かった時点で期限内に申告と納付をしましょう。
 

妻へお金を渡したいときに課税されない方法

渡す金額を贈与税の基礎控除を超えないようにしていれば、課税されません。さらに、生活費として渡すのであれば、必要な金額の範囲内であれば非課税になります。
 
国税庁によると、生活費として必要な金額を受け取った場合は、夫婦間を始めとする扶養義務者と被扶養者などの間柄であれば、非課税になると示されているためです。生活費には治療費も含まれます。1000万円をまとめて渡すのではなく、毎月の生活費として振り込む形にすると、税金は課されないでしょう。
 
ただし、生活費として渡したつもりでも、金額が高額すぎると、贈与と判断される可能性があります。食費や水道光熱費の金額を事前に聞いて、必要となる範囲内で渡すようにしましょう。
 

夫婦間でも金額によっては税金が課される可能性がある

贈与税は親子間や夫婦間といった家族内の金銭のやり取りであっても、一定額を超えると課税対象となる可能性があります。1000万円の贈与が夫婦間であったとすると、受け取った側に対して231万円の贈与税が課されるでしょう。
 
税金がかからないように渡したいなら、一度に渡す金額を基礎控除額以下におさえるか、必要な生活費の範囲におさえて渡すなど、工夫することが大切です。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.9205 延滞税について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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