使わずに貯めていた児童手当「200万円」を、子どもが成人したタイミングで渡そうと思っています。贈与税対策として「2年に分けて」渡せば大丈夫ですよね?
しかし、その際に「贈与税がかかるのでは?」と心配している方もいるのではないでしょうか。実際、児童手当は親に支給されるため、子に現金を渡すと「贈与」とみなされます。
この記事では、200万円の児童手当を成人後の子に渡すときに知っておくべき贈与税の仕組みや非課税制度、注意点について解説します。
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児童手当を渡すときにかかる贈与税の基本
児童手当は子どものための制度ではありますが、法的には保護者に対して支給されるお金です。そのため、親がそのまま管理している場合には親の財産にあたり、成人した子どもに渡す際には贈与とみなされます。
贈与税(暦年贈与)には、年間110万円までの基礎控除があります。そのため、1年間に子どもが受け取る金額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。もし200万円を一括で渡してしまうと、110万円を超えた部分(200万円-110万円=90万円)が課税対象となるでしょう。
分割贈与の注意点と対策
児童手当200万円をそのまま一括で渡すと贈与税がかかる可能性があるため、「暦年贈与で2年に分ければ非課税枠に収まるだろう」と考える方も多いでしょう。しかし、いくつか注意すべき落とし穴があります。
暦年贈与は「毎年ごとに独立」して考える
贈与税の基礎控除は「毎年110万円まで非課税」と定められています。そのため、200万円を、次のように渡せば、どちらの年も110万円以下となり、贈与税はかかりません。
・1年目:110万円
・2年目:90万円
ただし、形式的に年をまたいでいても実態が一度にまとめて贈与と同じであれば、課税対象となるリスクがある点に注意してください。
例えば、大学進学時に100万円、就職時に100万円のような形で分けると、基礎控除を無理なく使い切り、かつライフイベントに合わせて効果的に贈与できるでしょう。
名義預金と判断されるリスク
児童手当を長年親の口座で管理してきて、成人後にまとめて子の口座へ移す場合には「名義預金」とみなされる可能性があります。名義預金とは、子の名義を使っていても実質的には親が管理しているお金のことです。税務署は、以下の観点から名義預金かどうかを判断します。
・子が自分の意思で自由に引き出せたか
・親が管理していなかったか
・その時点で贈与の事実が成立しているか
形式的に分けて渡しただけでは「実態として親のお金」とされることもあり、課税の対象になることがあるため注意が必要です。
贈与契約の形式を整えておくこと
安全に贈与を成立させるには、渡す際に「贈与契約書」を作成しておくと安心です。特に200万円のようなまとまった金額を渡す場合、契約書を交わすことで「いつ・いくら・誰に渡したのか」が明確になり、後日の税務調査でも説明しやすくなります。
教育資金非課税制度や他の活用法もある
児童手当200万円をそのまま渡すのではなく、教育資金や結婚・子育て資金など、制度上の特例を利用する方法もあります。ここでは代表的な制度とその活用ポイントを整理していきます。
教育資金一括贈与の特例とは
教育資金一括贈与の特例は、父母や祖父母が30歳未満の子や孫に対して教育資金を一括して贈与する場合に、最大1500万円まで非課税とする制度です。対象となる教育資金は、以下のように幅広く認められています。
・学校の入学金・授業料
・塾や習い事の費用
・留学費用
ただし、30歳までに使い切れなかった残額については課税対象となる点に注意が必要です。
結婚・子育て資金の一括贈与の特例
教育資金以外に、「結婚・子育て資金一括贈与」の特例もあります。この制度は、20歳から50歳未満の子や孫に対して、結婚費用や子育て資金として最大1000万円までを非課税で贈与できるものです。
対象となる費用には、結婚式の費用や不妊治療、出産費用、子の教育費などが含まれます。ただし、こちらも対象年齢や有効期限が定められており、制度改正で内容が変わることがあるため、必ず最新情報を確認してください。
安心して贈与するために制度とルールを理解しよう
児童手当200万円を子どもに渡す際は、暦年贈与の基礎控除を活用すれば非課税で移転できますが、名義預金と判断されないよう手続きや管理を整えることが重要です。
暦年贈与以外にも教育資金贈与や結婚・子育て資金の特例を利用できる場合もあるため、制度の条件を確認し、計画的に贈与を進めていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー