独身で兄弟もいない60代です。亡くなった場合、“遺産”は誰に渡り、“葬儀”は誰が行ってくれるのでしょうか?

配信日: 2025.10.07
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独身で兄弟もいない60代です。亡くなった場合、“遺産”は誰に渡り、“葬儀”は誰が行ってくれるのでしょうか?
60代で独身、子どもも兄弟もいないという方にとって、自分が亡くなった後に何が起こるのかは、とても現実的なテーマです。「自分の遺産は誰が受け取るのか?」「葬儀は誰が行ってくれるのか?」など、家族がいないことで起こる“もしものとき”の不安は、誰しも感じるものでしょう。
 
本記事では、法的な制度や一般的な流れを解説し、必要な備えについてもお伝えします。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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遺産を受け取る人がいない場合、最終的には国のものに

日本の相続制度では、遺言書があればその内容が優先され、遺言がない場合にかぎり、民法で定められた「法定相続人」に遺産が引き継がれます。通常、「子ども(またはその子ども)」「両親などの直系尊属」「兄弟姉妹(またはおい・めい)」の順番です。
 
今回のケースのように、独身で子どもも兄弟姉妹もおらず、両親も他界していれば、法定相続人が存在しないことになります。このようなケースは「相続人不存在」とされ、次のような流れになります。
 

(1)検察官または利害関係人の請求により、家庭裁判所が「相続財産清算人」を選任
(2)清算人が財産・債務の調査や公告、遺言の有無など法定手続きを進める
(3)特別縁故者(被相続人と生計を一にしていた、または療養看護等の関係者)がいれば、家庭裁判所の判断により財産の分与を受けられる場合がある
(4)最終的に残った遺産は国庫に帰属する(国が引き取る)

 
つまり、遺言書などで誰に渡したいかを明確にしなければ、遺産は手続きを経て国のものになる可能性が高いのです。
 

葬儀は法律上の義務ではないが、誰かが対応する必要がある

意外かもしれませんが、日本では「葬儀を必ず行わなければならない」という法律はありません。しかし、亡くなった場合には、火葬や埋葬といった法的手続きが必要となるため、誰かがそれを担う必要があります。
 
一般的に、葬儀は家族が中心となって準備・実施しますが、あなたのような親族がいない場合は、次のようなケースが考えられます。
 

・生前に親しくしていた知人や友人が喪主を務める
・介護施設や病院が対応し、自治体へ引き渡す
・引き取り手がいなければ、自治体が“無縁仏”として火葬・埋葬を行う

 
自治体によっては「身寄りのない方の火葬・埋葬の手引き」が定められており、一定の条件を満たせば行政が対応する体制も整えられています。ただし、希望するような葬儀が行われるとはかぎらないため、意思表示をしておくことが大切です。
 

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準備しておくべき3つのこと

遺産や葬儀をめぐる不安を解消し、自分の希望をきちんと残すためには、事前の備えが大切です。特に、遺産の行き先を明確にし、葬儀や埋葬について意思を伝え、信頼できる人との関係を築いておくことがポイントです。本章では、そのために役立つ3つの準備を紹介します。
 
1. 遺言書の作成
財産の分け方や受取人を明確にした遺言書を作成しておくことで、希望通りの相続が可能になります。知人、団体、自治体、公益法人などへの遺贈(寄付)も可能です。遺言書には法的効力があり、記載内容に従った相続手続きが行われますので、確実に希望をかなえたい場合は必須です。
 
2. エンディングノートで意思を残す
法的効力はありませんが、「どのような葬儀を希望するか」「どこに埋葬されたいか」「誰に連絡してほしいか」など、自分の意思や希望を記録しておくことで残された人が迷わず対応できます。あくまで個人の希望を伝えるものとして有効ですが、遺産分割など法的事項は必ず遺言書として残すことが大切です。
 
3. 生前の人間関係を大切に
法的な相続人がいない場合でも、生前に支えてくれた人(=特別縁故者)は家庭裁判所への申立てを行い、一部の相続財産の分与を受けられる可能性があります。必ず分与されるわけではなく、本人との関係性や生活支援の実態など、裁判所の判断が必要です。そうしたつながりを持ち、関係性を築くと同時に意思表示をしておくことが大切です。
 

一人でも、安心して人生を終えるために

家族がいなくても、適切な準備をしておくことで、あなたの人生の最後はきちんと整理され、希望に沿った形で迎えることができます。
 
遺言書の作成やエンディングノートの活用は、今からでも始められます。法的な効力を持たせて遺志を実現したい場合は遺言書、希望や思いを伝えたい場合はエンディングノートを活用しましょう。少しずつでも備えておくことで、万が一のときにも周囲に迷惑をかけず、自分の思いを形にすることができます。
 
一人だからこそ、“自分の最期”を主体的に考え、行動することが何よりの安心につながります。
 

出典

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法 第九百五十九条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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