「固定資産税6倍」の衝撃…実家の土地を放置すると“年間15万円→90万円”負担に!どう防ぐ?
固定資産税は、住宅が建っている土地に対して軽減措置がありますが、その住宅を長期間放置して「特定空家」に指定されると、軽減の適用が外され、税負担が6倍に跳ね上がる可能性があります。
そこで、この記事では、固定資産税が6倍になる仕組みと、それを防ぐ方法を解説します。
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
固定資産税が「6倍」になる仕組み
固定資産税は、土地や建物といった固定資産に課される税金で、評価額に対して原則1.4%の税率が適用されます。
ただし、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、税額が大幅に軽減されています。特に、小規模住宅用地と呼ばれる200平方メートル以下の住宅地は、課税標準が6分の1に軽減されます。
そして、もし、200平方メートルを超えていたとしても、一般住宅用地としての特例が適用され、課税標準が3分の1に軽減されます。
この特例があるため、例えば評価額6000万円の土地でも、課税標準が6分の1になれば、実際の固定資産税は大幅に抑えられ、年間15万円程度に収まるケースがあるのです。
固定資産税の特例は外されることがある
先に見たような土地に対する固定資産税の特例は、一度適用されれば今後ずっと適用が続くわけではありません。建物を取り壊して更地となった場合は、もちろん適用外となります。
しかし、だからといって、とりあえず住宅が建っていればよいのかといえば、そうではありません。外形上住宅が建っていたとしても、それが空き家となっており、そのうえ放置されて、危険や衛生上の問題があると自治体に認定されたような場合は、「特定空家」とされます。
特定空家とされてしまうと、勧告など一定の手続きを踏んだ後、課税標準が6分の1ないし3分の1となる「住宅用地の特例」が外れ、課税標準が本来の評価額どおりになってしまいます。
結果として、固定資産税が最大6倍になり、年間15万円の固定資産税が90万円に跳ね上がるということが起こりえるのです。
「固定資産税6倍」を防ぐためにできること
固定資産税が6倍にならないように、特定空家とされないために適切な管理を行っておくことが大切です。
少なくとも、雑草が生い茂り、住宅や付属物が倒壊するなどして周囲に被害を及ぼすような状態にならないように、自身または業者に委託するなどして、住宅を適正な状態に保つのです。
そのうえで、自身や家族が住むことのできない状態であれば、賃貸物件として貸し出すべきでしょう。そうすることで、特定空家とされることがなくなります。
なお、どうしても賃貸物件として貸し出すことができなければ、売却するべきでしょう。たしかに人が住んでいなくとも、管理さえできていれば、特定空家とならず住宅用地の特例が取り消される可能性は低いのかもしれません。
しかし、空き家のままにしておくことは、住宅用地の特例という制度の趣旨や、街の治安維持の観点などから、望ましくはないからです。
まとめ
土地の固定資産税が6倍になるのは、上に立っている住宅を取り壊したり、上に立っている住宅が特定空家に指定されたときに、住宅用地特例が外れることが原因です。
特に、相続した実家を放置しているような場合は、元は資産だった住宅が、思わぬタイミングで負債に変わるリスクを抱えていることになります。
もし、誰も住んでいない住宅を保有している場合は、「住まないから放置」ではなく、管理・活用・売却といった選択肢を早めに検討するようにしてください。そうすることが、固定資産税6倍の衝撃を防ぐ方法になります。
執筆者 : 柘植輝
行政書士