奨学金の返済額が「300万円」残っている29歳の息子。私が一括で返済した場合、贈与とみなされて息子に課税されるのでしょうか?

配信日: 2025.10.22
この記事は約 4 分で読めます。
奨学金の返済額が「300万円」残っている29歳の息子。私が一括で返済した場合、贈与とみなされて息子に課税されるのでしょうか?
奨学金の返済がなかなか終わらないと悩んでいる人もいるでしょう。子どもが奨学金の返済に苦労している場合、親としては返済を助けたいと考え、支援する家庭もあるかもしれません。
 
しかし、奨学金の支援は課税される可能性があるため、注意が必要です。今回は、奨学金を代わりに支払うと課税される理由や、できるだけ課税されずに支援する方法などについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

奨学金の返還金は「教育資金」と認められない

贈与税の非課税項目として教育費の支援は確かに明記されています。しかし、国税庁によれば、非課税となる教育費の贈与として認められるのは「必要な都度直接これらに充てるためのもの」です。
 
奨学金の返済支援は、すでに支払い済みの教育費を補う行為であり、過去の支出に対する返済にあたるため、非課税となる教育費としては認められません。
 
また、親からの教育費の支援方法として教育資金の一括贈与の贈与税非課税措置も存在します。ただし、一括で渡して非課税となるのは、教育費と認められるものだけです。
 
文部科学省が公表している「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A」によれば、「奨学金の返還金は、非課税の対象とはなりません」と明記されています。
 
そのため、一括贈与の贈与税非課税制度を利用していたとしても、奨学金の支援は非課税になりません。親が奨学金を代わりに支払う場合は、子どもの金銭的負担は奨学金を全額支払うより減少しますが、贈与税が課される可能性があることは理解しておきましょう。
 

奨学金を代わりに支払うと課税される可能性がある

奨学金の返還金は非課税となる教育費として認められないため、親が300万円の奨学金を代わりに返済すると、親から子どもへの一般的な贈与とみなされる可能性があります。
 
贈与税は、年間110万円を超過した分の贈与に対して課されるためです。今回のケースで親が代わりに一括返済した場合だと、年間300万円なので基礎控除を差し引いた190万円に対し課税され、子どもが贈与税を支払うことになるでしょう。
 
この場合、国税庁によれば、税率は10%が適用され、贈与税額は19万円です。ただし、この金額は同じ年にほかの贈与がなかった場合に限られます。
 
例えば、300万円の奨学金返済に加えて100万円の贈与があったとすると、1年間の贈与合計額は400万円となり、課税対象は290万円です。
 
この場合では、税率が15%で控除額が10万円となるため、支払う贈与税額は33万5000円になります。贈与税の課税対象となった場合、年間の贈与合計額が基準となるため、過少申告とならないよう贈与された金額はメモなどで残しておきましょう。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

課税されずに奨学金の返済を支援するコツ

贈与税の課税対象になるのは年間110万円を超えた場合であるため、年間100万円程度の支援であれば課税されません。奨学金を一度に支援するのではなく、奨学金の繰り上げ返還を活用して3年で支払い終えるようにすれば、子どもが課税対象にならずに済むでしょう。
 
ただし、同じ年にほかの贈与がある場合は、100万円程度の返済支援でも、結果として贈与税の課税対象となる可能性があるため注意しましょう。
 
そのほか、子どもの生活費を支援するのも選択肢のひとつです。生活費の支援は、必要な範囲かつ直接使われる金額なら非課税です。子どもが一人暮らししているなら、仕送りとして生活に必要な費用を直接支払う形で支援すれば、子どもは奨学金の返済に集中できるようになり、課税もされないでしょう。
 

奨学金を一括で立て替えると、贈与税が課される可能性がある

奨学金の返済支援は、非課税項目である教育費には該当しません。そのため、今回のケースで「300万円」を一度に返済すると、子どもに贈与税が課されます。贈与税は年間の贈与合計額を基に判断するため、ほかの贈与の金額によっては高額になるでしょう。
 
課税を避けるには、年間の贈与額を基礎控除110万円以内に抑える方法があります。奨学金の繰り上げ返還を活用すれば、100万円程度の支援でも3年で完済が可能です。また、生活費の支援をする方法もあります。子どもと相談し、無理のない方法を選ぶとよいでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
文部科学省 教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQ&A 4.その他具体的な費目について 【奨学金,在籍料等】 Q4-4-1 (独)日本学生支援機構をはじめとした奨学金の返還金は,非課税の対象になりますか。(36ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問