父が亡くなってから1年以上経過して、定期預金に200万円あることに気づきました。今から相続税の申告をしたら延滞税や加算税などのペナルティーは発生するのでしょうか?

配信日: 2025.10.23
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父が亡くなってから1年以上経過して、定期預金に200万円あることに気づきました。今から相続税の申告をしたら延滞税や加算税などのペナルティーは発生するのでしょうか?
相続税の申告・納付は、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内に行わなければなりません(相続税法第27条・第33条)。この期限までに納付をしなかった、または納付額に不足が生じた場合には、延滞税や加算税を納付しなければなりません。
 
そこで本記事では「延滞税・加算税とは何か?」「亡くなって1年以上経過してから相続税の申告をしたら、延滞税や加算税などのペナルティーは発生するのか?」について解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
 
なお本事例においては、期限内に一度相続税の申告・納付を行っていたものの、後日新たに定期預金が見つかったケースとして解説します。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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延滞税・加算税とは何か?

延滞税とは、以下のような場合に課される税金です(国税通則法第60条)。


・期限内申告書を提出した場合において、納付すべき国税を法定納期限までに完納しないとき
・期限後申告書・修正申告書を提出した場合において、納付すべき国税があるとき
・納税の告知を受けた場合において、納付すべき国税をその法定納期限後に納付するとき
・予定納税に係る所得税を法定納期限までに完納しないとき
・源泉徴収等による国税を法定納期限までに完納しないとき

上記はどの場合でも、法定納期限の翌日から納付日までの期間に応じて延滞税が課されます。つまり、延滞税とは、納付すべき国税を法定納期限までに納付しなかったことに対する「利息」に相当するものといえます。加算税には、以下の4種類があります。


(1)過少申告加算税(国税通則法第65条)
(2)無申告加算税(国税通則法第66条)
(3)不納付加算税(国税通則法第67条)
(4)重加算税(国税通則法第68条)

過少申告加算税とは、期限内に申告書を提出した場合において、修正申告書の提出・更正があり、納税額が少なかったときに課される税金です。なお、修正申告とは納税者自身が自主的に申告内容を修正する手続きのこと、更正とは税務署が申告内容を訂正することをいいます。
 
無申告加算税とは、期限内に申告書を提出する必要があるのに申告書を提出しなかった場合に課される税金です。不納付加算税とは、源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかった場合に課される税金です。
 
重加算税とは、過少申告加算税に該当する場合において、申告書に虚偽の金額を記載した場合に課される税金です。
 

亡くなって1年以上経過してから相続税の申告をしたら、延滞税や加算税などのペナルティーは発生するのか?

本事例の場合、一定期間が経過後に定期預金を発見したため、新たに納付すべき相続税が発生することや、すでに申告済みの税額に不足が生じることにより、延滞税や加算税が課される可能性があります。
 
手続きとしては、本事例の場合は修正申告書を提出することができるため(相続税法第31条)、修正申告書を提出します。修正申告書の提出は、税務署から更正を受けるまではいつでもできますが、なるべく早く行うのがよいでしょう。
 
というのも、税務調査を受ける前に自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税は課されないとされているからです(国税通則法第65条第6項)。そうでない場合は過少申告加算税(税率5~15%)が、場合によっては重加算税(税率35%)が課される可能性があります。
 
延滞税の割合は「納期限までの期間及び納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで」と「納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後」で異なりますが、本事例の場合は後者に該当すると考えられます。
 
この場合の令和4年1月1日から令和7年12月31日までの期間に適用される延滞税の割合が8.7%であることから、本事例における延滞税の割合は年8.7%になるのではないかと考えられます。
 

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まとめ

本記事では「延滞税・加算税とは何か?」「亡くなって1年以上経過してから相続税の申告をしたら、延滞税や加算税などのペナルティーは発生するのか?」について解説しました。本事例におけるまとめとしては、以下のとおりです。


・延滞税とは、納付すべき国税を法定納期限までに納付しなかったことに対する「利息」に相当するものである

・加算税とは、申告すべき申告をしなかった、または納付すべき国税を納付しなかったことに対する「ペナルティー」に相当するものである

・亡くなって1年以上経過してから相続税の申告をしたら、延滞税や加算税などのペナルティーが発生する可能性はある

延滞税は納税が遅れたことに対する利息のようなものなので、本事例においては課税されるのが通常です。一方加算税については「適用外」とする場合もあるため、これに該当すれば、課税されない可能性もあります。
 
本事例では、期限内に申告・納付をしていたものの、後から新たな財産が見つかったケースを想定しているため、「修正申告」をすることになります。
 
一方、期限内に申告・納付をしていない場合は「期限後申告」をする必要があります。いずれにしても、大切なのは少しでも早く申告・納付を行うことです。本記事が行動を起こすきっかけになれば幸いです。
 

出典

デジタル庁 e-GOV 法令検索 相続税法
デジタル庁e-GOV 法令検索 国税通則法
国税庁 No.9205 延滞税について
国税庁 申告と納税
国税庁 相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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